カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

映画・本・動画といったエンタメのレビューを友人に語りかけるように書きためています。映画は、おすすめポイントと大好きなカットに焦点。本や動画でポピュラーサイエンスやオカルトをエンタメとしてカバーしているのも特徴。

【宇宙の「果て」になにがあるのか①】宇宙の制限速度「光速」と、無限大ポイントにおける一般相対性理論の破綻

こんにちは、カタツムリ系です🐌

なかなか、勇気のあるタイトル。「果て」があること、「果て」とは何かが、あらかじめ分かっているように感じられて、いろいろ、突っ込まれそう。とはいえ、そこはプロ。回答するナレッジはもちろん、果てとはなに?果てはどこにあるの?なんて言う質問にはゴマンと経験されたことでしょう。

そんな挑戦的なタイトルを付した本書↓。

宇宙の「果て」になにがあるのか 最新天文学が描く、時間と空間の終わり (ブルーバックス)

出典はアマゾンさん。

しかし、今になって思うんです。たとえばギリシャの哲学者とか、いろいろ、自分はこう思うと断言されてましたが、どうせ根拠なんかありっこない、すなわち、合っていないかもしれないないが、絶対間違っていないとも言い切れないという状況だから、好き勝手言えたのでしょうか。もちろん、そうした素朴な考え方の中で、後世に役立つアイデアを提供されたケースも多々あるでしょう。それにしても、こんな「宇宙の果て」なんて、哲学者か宗教家しか担当していなかった問いに、とうとう、科学が名乗りをあげてきたのですね💦

関連記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

 

宇宙の制限速度の、光速あるある

あるあるの、中身 

P-57

「光より速く移動する物体はない」という時の速度とは、その物体が移動しているその場その場で、周囲の者に対する相対的に運動する速度である。遠く離れた二地点が宇宙の膨張のために遠ざかる速度は、光速超えても一向に構わないのである。

言ってしまえば、なんと適当なことか、と思いました。中途半端な抜け道を作ったようにしか思えませんでした。

ルール違反ではないようです

とはいえ、この光速が宇宙の制限速度というのは、アインシュタイン一般相対性理論の大前提。あとで実験で確かめられたとは言え、「こういう仮定をしておくと、いろいろ、うまく説明できそう」というメニューの中に、

  宇宙の制限速度は、光速  

  ただし、宇宙自体の膨張を除く  

と指定した上でのこと。ズルでも適当でもないし、もっと言えば、光速が宇宙の制限速度だなんて、言われなければ想像もしないわけですよね。生意気言ってすいません💦

 

「無限大」というの問題 

無限大に関する専門家の言い分

物理学は、数学を利用します。その数学では、無限大なんて言うコンセプトは、高校くらいでも気軽に使っているように思います。でも、

P-77

「無限大=無限大」では数学的に意味をなさない。

とか。でも、よく見ると、無限大がダメというよりは、無限大=無限大という、同じことを二回言うような、自己循環的なことが無意味と強調しているようです。

大元のアインシュタイン方程式

敢えて、アインシュタイン方程式を見てみると(しかし、私の理解度もるので、大雑把な関係をみると言う極端には反しない程度に、簡略化しています。簡略化しすぎな可能性高いのは重々承知💦)

P-77を編集

Gμν(宇宙空間の曲率) ➕ Λ(宇宙項) = 8πG(重力定数➗  c(光速)^4  ✖︎ Tμν(物質のエネルギー密度

いろいろと論議のある「Λ(宇宙項)」 はスキップします。

改めてみると、専門家がよく参照する、この方程式は、ほとんど定数。ケースバイケースで変わるのは

  •   宇宙空間の曲率
  •   物質のエネルギー密度

だけ。

これをみる限り、宇宙空間の曲りくねり具合が大きければ大きいほど、物資のエネルギー密度が高いのですね。太陽系で例えれば、強大なエネルギーをもつ太陽の周りは、その周りの空間は、相当ねじ曲がっているということですね。

たしかに「無限大=無限大」は無意味。ここで、一般相対性理論の破綻

本題に戻りますか、たしかに、ピックバンやブラックホールのように、宇宙空間の曲率が無限大、物質のエネルギー密度が無限大だと、式が成り立たないですね。こういう文脈でみると「無限大=無限大」は意味がないというのは、わかります。

これだと理屈が破綻するというか、こんな方程式が理論の中枢であり、それが、壊れて、同じことを何度もリピートするプルーレイのようにだと、ポンコツ理論、さらには破綻していると言われても仕方ないかも💦

 

最後に

アインシュタイン方程式を初めて、ちゃんと見ました。かなりゆるい見方ではありますが、大体の傾向を見る上では、個々の項目の数値などを細かにチェックするというよりは、

  •   これとこれは、比例して
  •    あれとあれは、反比例する

くらいの関係性をみるだけというアプローチもアリなのだそうです。

 

また、次回。

 

#宇宙の「果て」になにがあるのか

#アインシュタイン 

#一般相対性理論

【宇宙に外側はあるのか】宇宙論の課題のNAVER的まとめ。誕生の秘密を狙うには、その瞬間から一兆分の一秒までがターゲット。

こんにちは、カタツムリ系です🐌

Kindle版。意外と読みやすい!!

2016年の重力波発見前の作品(2012年発表)ですが、内容がなぜか古さを感じさせません。そして、丁寧な丁寧な書きっぷり。コンパクトに宇宙ランを流れも追いつつ、面白いくもあり、好感のもてる作品です😊

宇宙に外側はあるか (光文社新書)

宇宙に外側はあるか (光文社新書)

 

出典はアマゾンさん。

関連記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

 

🕵️‍♂️「No.〜」に続く数字は、kindleでのページ数です。

 

宇宙の外側が存在するかどうかの検証をする前に、まず、今の宇宙の生い立ちから

No.269

宇宙マイクロ波背景放射は 、空のあらゆる方向からやってきます 。

まずは、この「宇宙マイクロ波背景放射」が鍵となるようです。

宇宙誕生直後は、かなり活発な動きが目立ち、いろんなツブ(粒)が飛び交い、ぶつかりあっていたようです。なんと、光さえ直進を阻止されたよう。それが38万年経過すると落ち着いたらしく、その状態を「晴れ上がり」というとか。この時点から放たれた電磁波が「宇宙マイクロ波背景放射」と名付けられています。これを現在、地球や色んなところで受け取っているのです。宇宙誕生から38万年後という、宇宙誕生「直後」のデータがあるということです!!

 

しかし、いかんせん「宇宙誕生〜38万年後」のデータにはアクセス難しそう💦

No.327

宇宙マイクロ波背景放射は天然のタイムマシンとして 、宇宙の晴れ上がりの時点にまでさかのぼるのに使うことができました 。しかしそれより昔を見ようと思ったら 、光や電波などの電磁波ではできません 。何か物質に邪魔されずにまっすぐ進む別のものが必要です 。

そう、もう一歩?のところで、足踏みしているようです。

 

ただし、代替案がなくはない?!

No.327

さて 、そんな都合のよいものがあるのでしょうか 。それが実はあるのです 。私たちにはまだ検出する技術がないのですが 、将来的に検出可能になるかもしれないものが 2つ 。それは 「ニュ ートリノ」と「重力波」です

No.341

宇宙の初期にも大量のニュ ートリノが発生します 。それは宇宙マイクロ波背景放射と同じように宇宙に充満しています 。これを 「宇宙背景ニュートリノ 」といいます 。いまも私たちの周りには 、このようなニュ ートリノが角砂糖ほどの大きさの体積あたり 3 0 0個あまりの割合で存在しています 。しかし 、私たちにはそれを感じることは全くできません 。

出ました!「重力波」!この本の公開時である2012年から四年後に発見された、重力波。宇宙の誕生に関する、とりあえずの、手掛かりは得たものの、あまりに検出が難しいことから、なかなか簡単には先に進まないようです。

 

宇宙誕生という起源を求めることは、なんとなく正解な気もしますが、そこまで頑張る必要はあるのか?

No.518

クォ ークや電子などいくつもある素粒子の起源です 。その起源は 、宇宙の誕生から 1兆分の 1秒以内に求めるべきものです 。

No.464

私たちにはまだ未知の物理学が宇宙を支配しています 。宇宙が始まってからわずか 1兆分の 1秒間など 、宇宙の歴史からすれば無視できるほど短い時間です 。しかし 、宇宙の始まりの謎はこの短い時間の中に凝縮されています 。

ビッグバンなりインフレーションなり、もともとは、ギューっと凝縮されたものが、一気に膨張したのが、現在の宇宙。とすれば、その凝縮されて、凝縮されていた時代の痕跡を探ることは、たしかにヒントがいっぱいあるのかも。

 

しかし宇宙誕生の解明は骨が折れそうで、「虚数」時間なんて言う人が出てきた

No.988

ホーキング自身は虚時間のほうが自然界の時間であって 、人間にはそれが虚数に見えているだけではないかと考えているようです 。しかし 、そういう証明がなされているわけではなく、この境界条件自体が正しいという保証もありません 。

もう亡くなられましたが、車椅子の理論物理学者のホーキング博士。「虚数」時間のほうが、自然界には「自然」なのだ、と。そうなると、人間の素朴な感覚では、「自然界」は、ちっとも「自然」でなさそう💦

 

そして筆者から考える課題

大きなものとして十個挙げておられます。そのうちの、二つを。

No.2632

1️⃣なにが宇宙をはじめたのか

9️⃣この宇宙の他にも宇宙は存在するのか

そう、こんな根本的なことが分かっていないのです。宇宙は謎だらけ💦

 

また、次回。

 

#宇宙に外側はあるのか

#ムーチューブ

#三上編集長

#アインシュタイン

#相対性理論

#ブルーバックス

【宇宙のダークエネルギー】真空が主役に転じる。真空の正体「ダークエネルギー」は至る所に。そしてアンチ重力というレアな性質。

こんにちは、カタツムリ系です🐌

今まで、一般相対性理論とか量子論から、いい意味で言えば、果敢に、冷静に見れば、無茶なレベルの話にどっぷり浸かってきました。まぁ、好きでやってますので、負担ではないのですが💦

ところが、です。

なんと、現時点で人類が把握しているのは、宇宙の5パーセント程度で、95パーセントは分かっていないのだとか。水素だとかヘリウムだとかいった元素が構成するモノは、宇宙全体の5パーセント程度というのと。

それも、何万光年も離れているから、光の速さより早く移動できない以上、そんな遠いところは観測できないという話ではありません(もちろん、そういった側面はあろうかと思いますが💦)。そうではなくて、身近な地球の周りにおいても、そんな未知の存在、ダークマターだとか、ダークエネルギーだとか呼ばれていますが、存在するのだとか。

95パーセントというシェアは分かるのに、中身は全く分からないのだとか。どういうこと?!

宇宙のダークエネルギー?「未知なる力」の謎を解く? (光文社新書)

宇宙のダークエネルギー?「未知なる力」の謎を解く? (光文社新書)

 

出典はアマゾンさん。

関連記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

🕵️‍♂️「No.〜」に続く数字は、kindleでのページ数です

 

「真空」は、なにもない空間ではないようです。ダークマターやらダークエネルギーやらがふんだんに詰まっているようです。

No.114

では、なぜ、ダークマターが存在しているのがわかるのでしょうか 。それは 、ダークマターがあると 、その重力によってまわりの天体の運動や光の進む進路に影響を及ぼし 、宇宙のどこに存在しているのかがわかるためです 。しかも 、星などに比べてはるかに大量に存在していることがわかっています 。つまり 、夜空に見えている星々の間には 、何もない真空が広がっているわけではなく 、そこには目に見えないダークマタ ーが大量に存在しているのです 。

それなら、「真空」という名前はやめたほうがよいような必要性を、素人目にも、感じてしまいます。なんたって「宇宙マイクロ波背景放射」とか「赤方偏移」だとか、現象を正確に表そうとして、結果として大袈裟な命名の多い、物理というフィールド。そんなにネーミングにこだわるなら、この「真空」も、改名候補では?!

しかし、人類は、その「真空」の「中身」のことは丸で分からないのです。やっぱり「真空」かも。

 

なんと、ダークマターは偏在するが、ダークエネルギーは、前回宇宙に一様に存在すると

No.128

ダークエネルギ ーとダークマターはまったくの別物です 。光を出したり吸収したりせず 、望遠鏡などを使っても私たちには見ることができないのはダークマターと同じですが 、ダークエネルギーダークマターと決定的に違う点があります 。それは 、ダ ークエネルギ ーはある場所に局在することがなく 、宇宙全体にほぼ一様に存在しているという点です

むむむ。ダークエネルギーという名称ですが、宇宙にあまねく存在するなんて「神」と同じでは?!

 

でた!反重力!

No.128

ダークマターは通常の物質と同じように重力によって集合する性質を持っていますが 、ダークエネルギーは重力の働き方が反対になっていて 、宇宙全体に広がってしまうという性質を持っています 。つまり 、一種の反重力

電子もマイナスとプラスあります。また最近、やたらと「対称性」に宇宙の特徴を求める流れもあります。

でも、長らく、重力と反対の性質をもつ存在を耳にしませんでした。しかも、宇宙の根幹的パワーたる「重力」の反対なんて、壮大で、なんだか、ロマンチックでさえあります💦

 

ダークエネルギーの不可思議なポイントをひとつだけ

No.164

ダークエネルギーを現代の物理学によって理解するには 、それはあまりにも奇妙すぎる性質を持っています 。例えば 、これがもし変わった物質の一種であるとして計算してみると 、その圧力がマイナスになってしまうのです

さすが。アンチ・重力たる」ダークエネルギー」。圧力を計算したら「マイナス」になるなんて。ここまで来ると、くどいようですが、もはや「宇宙のロマン」とも言うべき、神秘のパワーですね😊

 

また、次回

 

#宇宙のダークエネルギー

#ムーチューブ

#三上編集長

#アインシュタイン

#相対性理論

 

【量子テレポーテーション②】量子コンピューターとしての秀逸さ

こんにちは、カタツムリ系です🐌

量子テレポーテーションという秀逸なネーミングに惹かれ、本書↓を手に取った私。スタートレック的世界は断念しつつ

量子テレポーテーション量子コンピューター」

ということなので、そういう最新のトレンドに乗ることにしました💦

量子テレポーテーション―瞬間移動は可能なのか? (ブルーバックス)

量子テレポーテーション―瞬間移動は可能なのか? (ブルーバックス)

 

出典はアマゾンさん。

 

関連記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

量子コンピューターの最大の強みを一つ

P-15

量子コンピューターでは非常に速く解ける問題の代表例は、素因数分解(一つの大きな数が、二つの素数の積であることを計算すること)であり

急な素因数分解の登場💦

 P-15

素因数分解が注目される理由は、現在のインターネット等での情報セキュリティにおいて、その要(カナメ)である素因数分解が、従来のコンピューターでは時間ががかり過ぎて、事実上できないことに立脚

かと言って、従来のコンピューターでも対処できるくらいの簡単な素因数分解なら、インターネットでクレジットカードの番号が簡単に盗まれるらしい。

 

量子テレポーテーションは、量子情報・量子状態を伝送するというが、それらは一体?

P-20

原子核や電子の存在そのものではなく、それらの配置・運動の情報。あるいは原子核や電子の状態と呼んでも良いかもしれない

もちろん原子核や電子の情報は必要なわけですが、それらの関係性も必要なのだとか。しかも、常に変化する関係性。1+1=2ではない、と言い換えてもよいかもしれません。これは大変ですね。たしか人間だと細胞だけでも60兆個あると耳にしたことあり、しかも、常々変化するとなれば、その情報量は莫大ですね💦

 

厄介な性質。不確定性原理。そして、ホラー💦

P-32

不確定性原理のために、量子の位置と運動量を同時に測定により決めることはできないから、量子テレポーテーションの送信側では、量子情報(位置と運動)を完全に得ることができない

下手に人間をテレポーテーションさせようとすると、受け手サイドでは、情報が微妙に異なるということ?!恐ろしい💦

P-32

量子は一度測定を行ってしまうと状態ですかわ変換してしまう 

これも不確定性原理から来る性質。情報の受け手は、不完全かつ常に変化する情報しかもらえない?!テレポーテーションなんて、恐ろしい💦

さらに、仮にアリスさんという人からボブさんという人に量子テレポーテーションするとして

P-36

アリス側での「状態」は壊れてしまう(この様子は「状態が変わる」という生やさしいものではなく、明らかに人間としての存在が「壊れる」ので、量子テレポーテーションが成功してボブ側に再現される量子状態は唯一の存在となる

量子テレポーテーションした瞬間に、元々の自分は抜け殻のように捨てていくことになるのですね。結構なホラーです💦

 

重ね合わせの状態、という、曖昧な言葉は?

 P-44

すべての運動の状態が「重ね合わされている」状態(中略)平たく言えば、全くの不確定なので、すべての運動の場合が「重ね合わされた」と考える

は、複数の可能性が同時にあること、すなわち確率的、ということが言いたいようですね。しかも

P-44

誤解しないでほしいのが、あくまでも量子は一つであり、異なった多数(無限)の状態が「重ね合わされている」だけ

じゃあ、もっと分かりやすいネーミングにすればよいと思いましたが、意外と思いつきません💦

 

量子テレポーテーションもしくは量子コンピューターのすごいところ

量子力学の考え方を駆使されているところはもちろんですが。その中でも「重ね合わせ」を利用したところがキーなんでしょうね。従来から、「一対一」で対応していたものか「一対N」になったのですから、情報「量」の観点では飛躍的に伸びたこと理解できます。

先日の本件に関する投稿↓でも言及しましたが

量子テレポーテーション①引用

P-19

シュレーディンガーアインシュタインらの頭の中だけで行われていた実験を、現在のテクノロジーを用いてテーブルトップで実現するというのは、考えただけでもわくわくするのではないだろうか?

ということに尽きます💦

 

また、次回。

 

#量子テレポーテーション

#スタートレック

#アインシュタイン

#ERPパラドックス

#量子コンピュータ

【ホーキング 宇宙の始まりと終わり③】宇宙論を包括的に救うはずの重力量子論。

こんにちは、カタツムリ系です🐌

宇宙の始まりと終わり、なんて、エキサイティングなトピックである一方、即効的になにかの役に立ったりする内容でもないことも確か。しかし、意外な?ところで高い関心を寄せる人たちもいるようです。なんと、ヴァチカンのカトリック教会💦

ホーキング宇宙の始まりと終わり 私たちの未来

出典はアマゾンさん。

前回の記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

ヴァチカンでの宇宙論の会議

会議の趣旨

P-122

カトリック教会は、ガリレオでひどい過ちを犯しました。科学の問題に権威を振りかざし、太陽が地球の周りを回っているのだと宣言したのです。それから数世紀を経た今、教会は数人の専門家を招いて宇宙論について意見を求めることにしたわけです。

たしか、以前の教皇がビッグバン理論を大々的に取り上げて、これこそ、神の天地創造を示すものだとアピールしたこともあったよう。しかし、科学理論はつねに書き換えられる可能性があり、その科学理論の誤りが指摘されたら、教皇の誤りにも繋がりかねないので、以後慎むようにと部下から諌められたとか💦

ホーキング博士のことですから、一発かましたのかと思いきや、そんな武勇伝はないようです。しかし、一応、シニカルなスタンスは崩していません。

教皇コメント

P-122

会議の最後に、参加者は教皇への拝謁が許されました。すると教皇はビッグバン以後の宇宙の進化を研究するのは結構だが、ビッグバン自体を突き詰めてはいけないと言いました。なぜなら、ビッグバンは創造の瞬間であり、したがって、神の業(ワザ)だからだ、と。

しかし、ホーキング博士の専門領域はビッグバンにもかなり被ります。教皇から招かれた会議で、教皇からストップがかかったトピックをバンバン主張されたに違いありません💦

ホーキング博士の振る舞い

実際、

P-141

時間と空間はともに大きさは有限だが境界や縁のない面を形作っている可能性がある、とわたしがはじめて発表したのはヴァチカンの会議でした。わたしの研究論文はかなり数学色が強かったため、宇宙の創造に髪が果たす役割まで踏み込んでいることは、その時点では指摘されませんでした

 

特異点が招くもの

一般相対性理論の宿命

いくらヴァチカンでダメって言われても、突き進むホーキング博士特異点に関する考察が、またまた特異な方向性を生み出します。

P-156

古典的な一般相対性理論は、時空の曲率が無限大の特異点で宇宙が始まったと予測しています。実のところこれは、古典的な一般相対性理論が自らの破綻を予測したということです。

哲学ならいざ知らず、物理学では、数学で記述する必要あります。数学では、発散など無限大というコンセプトはあるようですが、数学を使った物理学では、無限大のものは、実在しない、もしくは実在するという予測もない以上、使い勝手がありません。まさに破綻です。それで出てきたのが重力量子論

重力量子論の台頭

P-156

時空の曲率が増大すると(中略)古典的な一般相対性理論は宇宙の詳細な説明ではなくなってしまいます。

一般相対性理論が「無限大」とか「特異点」とかで、言ってみれば思考を停止しているところでも、重力量子論は丁寧に

P-156

宇宙のとり得るあらゆる経路を考慮します

ということ。一般相対性理論は、宇宙の始まりの部分の説明につき、理論の完成度的に高みに達してないというより、そこまで手が回らなかったという方が実態のようですね。

 

重力量子論が万物を説明する理論になり得るのか。その時、過去、その役割を担っていた哲学者は?

P-180

大半の科学者は宇宙を記述する新理論を考えるのに忙しく、なぜという問いを発してしません。

物理学とはそういうものだと整理しています。ニュートンも「引力とはなにか」なんて考えているとキリがないので「引力はどのように振る舞うか」という方向で研究を進めると、色々うまくいったらしいです💦

P-180

一方で、なぜという問いを発するのが仕事の人たち、つまり哲学者たちは、科学理論の進歩についていけずにいます。十八世紀の哲学者は、科学も含め、人類の全知識が守備範囲でした。

例えば、フランスのダランベールは哲学もやり数学もこなす典型例。しかし、こんな環境になったことには理由はあり

P-180

十九世紀から二十世紀にかけての科学は、ごく一部の専門家をのぞき、哲学者にとっても他の人たちにとってもあまりに技術的で数学的になりすぎました。

たしかに💦そして、そんな状況はさらに加速し

P-180

哲学者が探求の範囲を大幅に狭めてしまったため、二十世紀の最も有名な哲学者ヴィトゲンシュタインはこう語っています。「哲学者に唯一残された仕事は、言語の分析です」。アリストテレスからカントまで、偉大な伝統を持つ哲学のなんという落ちぶれようでしょう。

それにしても、ホーキング博士は、哲学者に対して、なんと塩対応なことでしょう💦

 

最後に 

かつて教養小説と呼ばれて、主人公の成長を描いた本がもてはやされていた時がありました。読者が共感を得るような人物像で、そして、苦難を乗り越えるという設定が多かったと思います。たとえば、ロマン・ロランジャン・クリストフ

ジャン・クリストフ 1 (岩波文庫 赤 555-1)

出典はアマゾンさん。

宇宙論も、教養小説並みに、ある種、自由自在に宇宙のストーリーを描くことのできる時代になったようです。すごい。

 

 

また、次回。

 

 

#ホーキング 宇宙の始まりと終わり

#ヴァチカン

【量子テレポーテーション①】量子論✖︎テレポーテーションという神的コンビ💦

こんにちは、カタツムリ系です🐌

出ました。テレポーテーション。瞬間移動。しかも、量子論という、分かったような分からないようなアカデミックな基盤もあるお話。ムー的には、読むしかありません💦ちなみに本書↓の筆者は

P-5

現役の量子テレポーテーション研究者である

そんな仕事あるんですね!しかも専任😊

量子テレポーテーション―瞬間移動は可能なのか? (ブルーバックス)

量子テレポーテーション―瞬間移動は可能なのか? (ブルーバックス)

 

出典はアマゾンさん。

関連記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

 

テレポーテーションの説明。誤解ないようにとの配慮だそうですが、すごく残念💦

P-7

量子テレポーテーションの「語源」となっている「テレポーテーション」は、『スター・トレック』などで出てくる瞬間移動のこと

当たり前じゃないですか!しかも、量子✖︎テレポーテーション!期待は膨らむばかり!

P-7

これから説明しようとしている量子テレポーテーションは瞬間移動のことではない(中略)「(量子)情報=存在」を伝送するだけ

瞬間移動も、人間という情報かつ存在の伝達ではないのですか?

P-7

さらに、光の速さを超えて伝送するという「眉唾」なことも起きない。つまり、「瞬間」では伝送されない。あくまでも光速以下で伝送される(中略)量子力学にも相対性理論にも反しない「単なる」物理学の話

あれれ。われわれが勝手に広げた風呂敷が、随分、狭まってきました。ちょっとガッカリ。しかし、まだ、どこかに微妙な、一方的な期待感。でも、そんな地に足のついた話なら「量子テレポーテーション」なんていう、キャッチーなネーミングはルール違反ですよ。ムー的には💦

 

じゃあ、人間の瞬間移動を目指さずして、実際、量子テレポーテーションは何を目指す?!

P-15

量子テレポーテーションが、もっとも簡単な量子コンピュータ

急に話が飛びました。量子コンピューターは量子コンピューターで関心あるところです。しかし、恐らくは、量子コンピューターも、瞬間移動は実現させてくれなさそうなので、SFチックな話は一旦断念することに。

 

それでは、量子コンピュータとは

P-14

量子コンピューターとは、量子力学的性質を積極的に使い、従来のコンピューターでは計算時間的に不可能であった問題ある(解くのに何万年もかかってしまう問題)を瞬時に解くことのできる「魔法の」コンピューター

要は、特殊なことをするというよりは、ひたすらCPUをあげることに貢献するコンピューターのようです。

CPU(シー ピー ユー)とは - コトバンク 

 

量子力学的性質というと?!

「量子エンタングルメント(もつれ)」だそうです。量子のもつれというと、粒子の状態が重なり合うという、何回聞いてもピンとこないアレですね。

量子もつれ(りょうしもつれ)とは - コトバンク

象徴的に取り上げられるのは、次のようなトピック。

  •     一対の電子があって↓
  •     どんなに遠くに離れていても↓
  •     一方が右回転したら↓
  •     もう一方は左回転する↓
  •     それも、光の速さより、早く伝わる

のだとか。この光速よりも速いという点にアインシュタインも異議を唱えたとか。ERPパラドックスとして知られています。

EPRパラドックス(いーぴーあーるぱらどっくす)とは - コトバンク

 

だから、量子テレポーテーション量子コンピューターに馴染む

P-15

量子テレポーテーションは、「入力に重ね合わせの状態を許す」、「入力状態を一括に処理する」、「処理の途中で量子エンタングルメントが形成される」というコンピューターの条件を満たす最小の単位

理屈は理屈として、量子エンタングルメントなんて、そういう現象を観測するのはともなく、人間側で再現できるものなのですね💦

 

最後に

コンピューターに量子エンタングルメントを適用するなんて話が突然過ぎたのか、量子テレポーテーション量子コンピューターとが、従来、一括して考えられてこなかったそうです。かなり将来性のある話らしいです。そのことにも関心はあるのですが、量子エンタングルメントが、人間サイドで再現できること自体が、なんだか、魔法のように感じます。

本書筆者も

P-19

シュレーディンガーアインシュタインらの頭の中だけで行われていた実験を、現在のテクノロジーを用いてテーブルトップで実現するというのは、考えただけでもわくわくするのではないだろうか?

 

また、次回。

 

#量子テレポーテーション

#スタートレック

#アインシュタイン

#ERPパラドックス

#量子コンピュータ

#シュレーディンガー

【ホーキング 宇宙の始まりと終わり②】「裸の特異点」「宇宙検閲官仮説」。真面目なんでしょうが、どうにも盛りすぎな匂いのするネーミング💦

こんにちは、カタツムリ系です🐌 

宇宙の一生を語る名手、ホーキング博士。前回の記事では、宇宙の始まりどころか、個々の星のライフサイクルを見ただけで、割に感動してしまいました💦 

この本焼きを読み終えるのは、大変そう💦

ホーキング宇宙の始まりと終わり 私たちの未来

出典はアマゾンさん。

 

前回の記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

特異点」の「特異」なところ

特異点」といっても、数学上のコンセプトなので、その使用に一定のメリットがあるはず。なので、とやかく言っても仕方ないのですが、それでもなお、なかなか、特異なのです💦

とりあえず特異点のポジション

P-87

一般相対性理論にしたがうと、ブラックホールのなかには無限大の密度の特異点があるはずだということを示しました。これはむしろ時間の始まりにおけるビッグバンに似ています。

特異点」が宇宙の特性なら、それはそれで受け入れるべきでしょうが

特異点の前では、無力な人間

P-87

崩壊しつつある天体と宇宙飛行士にとっては、時間の終わりでしかありません。この特異点では、科学の法則や未来を予測するわれわれの能力も役立ちません。

特異点の前では、人間はほぼ無力に近く、人間が圧倒されたり、マイナスの影響を受けそうなものですが

P-87

しかし、ブラックホールの外に残っている観測者は、予測可能性が破綻しても何の影響も受けません。なぜなら光もいかなる信号も、特異点からは届かないからです。

という風に、まるで、他人のような存在であり続けるのです。

裸の特異点と宇宙検閲官仮説

P-87

この注目すべき事実から、ロジャー・ペンローズ は宇宙検閲官仮説の提唱を思い立ちました。この仮説はいわば「神は裸の特異点を嫌う」ということです。言い換えれば、重力の崩壊によって生じた特異点は(注目)外部の視線から慎み深く身を隠せるブラックホールのような場所でしか起こらないということです。

こんな風にブラックホールの外部に残っている観測者を、特異点で起こる予測可能性の破綻の影響から神が守るのだとか。意味が分からないではないですが、なーんか、ローカルな内輪受けなイメージが強いですね。しかも

P-88

ただしブラックホールに落ちた気の毒な宇宙飛行士には、手を差し伸べません。

ということです。

 

ブラックホールは、本当に吸い込むだけか?

まぁ、惑星がぺしゃんこになるくらいの強烈な重力場合なんでしょうから、気軽にブラックホールから、なにかが出てくることはなさそうです。

まずはブラックホールが吐き出す話ではなく、呑み込む話

P-105

事象の地平(=ブラックホールを取り囲む境界線のようなもの)の面積はブラックホールに物質が落ちるたびに増えるという私の発見に続き(中略)ベケンスタインは事象の地平の面積がブラックホールエントロピーの尺度だと主張

この発見まではよいとして、こういう表面積が増えると、ワンセットで表れるべき性質があるのだとか。

P-105

ブラックホールエントロピーがあるなら、温度もなければなりません。ですが非ゼロ温度の天体は、一定の割合で熱を放射するはずです。

例えば、火かき棒を火で熱すると真っ赤になり熱を放射するケースを想起してください。また、低い温度の天体も、放射の量がごく少ないのできずかないが、熱を放射しているとのこと。でも

P-105

ブラックホールは何も発していない天体だと定義されています。ですから、ブラックホールの事象の地平の面積はエントロピーとはみなさないと考えられました

ベケンスタインさんの主張が誤っていたとはいえ、ホーキング博士としては、それはそれでよかったらしいのです。ホーキング博士が発見した「事象の地平の表面積が増える」という発見をでたらめに悪用したというイメージあったようです。

P-107

計算してみて驚くとともに困ったことに、回転しないブラックホールとどうやら一定の割合で粒子を創り出し放出さしているようだとわかったのです。

ブラックホールが何ものかを吐き出しているという驚愕の発見に加え、ベケンスタインさんの主張も正しいことになってしまったようです。痛し痒し💦

 

ブラックホールは吐き出すだけでなく、蒸発までしてしまうのか

P-110

ブラックホールの質量は小さければ小さいほど、温度は高くなります。ですから、ブラックホールが質量を失うと、それにつれて温度は上がり、放射の速度は増します。したがって質量を失う速度も増します。

質量が一旦失われると、その動きは加速するようですね。しかし、ブラックホールの質量が最終的にきわめて小さくなったとき、何が起こるかははっきりしていないようですが

P-111

初期質量が小さい原始ブラックホールは、もうすっかり蒸発していることでしょう。

なに!蒸発まで!もう、何でもアリですね。量子力学で、物質はすべて、ツブでありナミでもあると聞いた時くらい、なんか呆れ気味💦

 

また、次回

 

#ホーキング 宇宙の始まりと終わり

#事象の地平