カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

映画・本・動画といったエンタメのレビューを友人に語りかけるように書きためています。映画は、おすすめポイントと大好きなカットに焦点。本や動画でポピュラーサイエンスやオカルトをエンタメとしてカバーしているのも特徴。

【大聖堂・製鉄・水車】Newton以前のテクノロジー!

こんにちは、カタツムリ系です🐌

今まで、ずっと映画切り口、もしくはムー的切り口で投稿してきましたが、今回は、ちょっと趣向を変えてみました😊

 

 

 

好みの文庫シリーズ

それなりに読書量をこなしてきますと、大なり小なり、各々のこだわりと言いますか、趣味が出来上がるもの。

どんなジャンルが好きかと聞かれると、小学生高学年向けの、いわゆる、児童書と答えます。

大人になった今でも、当時とほぼ同じ感動具合で読むことのできる、私にとっては、魔法のようなジャンルです。  

そんな中、好きな文庫は次の通り。

「大人?向け」

✔️岩波文庫

✔️講談社学術文庫

✔️講談社ブルーバックス

「児童書」

✔️岩波少年文庫

✔️講談社 青い鳥文庫

✔️偕成社文庫

✔️ポプラ ポケット文庫

 

今回の文庫チョイスは

講談社学術文庫です。「学術文庫」と名乗るだけあって、アカデミックな内容の本が多いのは確か。

今回の本は、中世のテクノロジーを扱った、すこし毛色の変わった本。

タイトルからは、ややお硬い感じも受けますが、アマゾンさんで選んだ時には、なんとはなく、児童書っぽい、言葉のチョイスに心動かされたもの。

例えば、主人公の男の子が、敬虔なクリスチャンで、大聖堂に通います。お父さんの商売を手伝って、製鉄の技術を勉強中。自宅では、水車で、お母さんの家事を手伝う毎日、みたいな💦

ま、内容は全然違いましたが。

大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー (講談社学術文庫)

大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー (講談社学術文庫)

 

出典はアマゾンさん。

 

中世は暗黒時代じゃない!!

とかく、中世(5世紀〜15世紀)あたりは、世の中が停滞し、沈滞して、文化など知的活動の進歩はなかったようなイメージが蔓延している、と嘆いています。

例えば、

P-11

中世社会を「野蛮と宗教の勝利」

と著名人が言ったりするとか💦

はたまた「暗黒時代」と呼ばれたりして。

しかし、そんなことはない!というのが、筆者の主張。

もちろん、納得。

なぜなら、中世なんて、西ヨーロッパ帝国滅亡(476年)〜東ローマ帝国滅亡(1453年間)までの時期なんていう、ローマ帝国「視点」の、かなり恣意的な決め事に思えますので。

ちなみに、それより前が「古代」、それよりあとが「近代」。 

だから「中世的古代」なんていう、こんがらがった使い方も何度か目にしたことあります。日本風に言えば「鎌倉時代的な平安時代中期」みたいな使い方ですね。まぁ、こんな使い方も出来るかも💦

ペストがヨーロッパで、14世紀あたりに流行したのも、そんなマイナスイメージを助長したのかもしれませんね。

 

テクノロジー万歳

わざわざテクノロジーの本を書くくらいなので、当然、筆者は、テクノロジー好きです。

同時に、歴史好きらしいのです。

そのおかげか、テクノロジーのことばかり書いてある本ではあるものの、テクノロジーを通して、その時代、その時代の、人間の日常生活も浮き彫りにします。

ちなみにテクノロジーといっても、現代の情報処理系のイメージは当てはまりません。印刷技術や田畑の耕作技術も、テクノロジーです。

 

一応、多くのテクノロジーをもたらしたヨーロッパを持ち上げる

じゃあ、現代人が、そのメリットを享受しているのは、誰のおかげか?という話になります。

学校で習った産業革命しかり、ヨーロッパにはお世話になってます💦

P-364

世界のヨーロッパ化は(中略)一応の完成を遂げており、少なくとも物質的な面ではほぼあまねく受け入れらている

 

しかし、全面的に褒めるわけではありません。ローマ帝国は評価してない!?

ローマ帝国といえば、キリスト教封建制度と並んで、ヨーロッパを特色づけるものという議論も、よく耳にしました。

そんな「大」ローマ帝国には、逆に、チクリ。ヨーロッパが偉いのではなく、ヨーロッパの「テクノロジー」が偉いようです💦

P-56

ローマ人に欠けていたものがさらにある。理論科学と経済学〜テクノロジーに大きく影響する二つの分野〜に貢献しなかったことだ

 

筆者はフランス人ですが、アメリカもアフリカもアジアも視野に

やっぱり「テクノロジー」ファーストの筆者なので?、ヨーロッパ以外にも目を配ります。

P-120

中国が世界の他の地域に、少なくとも十世紀は先んじた重要な技術は鋳鉄だ。

P-126

中世ヨーロッパが真似をしようとしてもできなかった中国の技術がある。陶磁器の生産だ。

なに、鋳鉄技術については、十世紀も、リードしていたと!ホント?!

鋳鉄(ちゅうてつ)とは - コトバンク

 

でも、最後にはキチンと反省も

歴史好きなことが、よいバランスをもたらしたのか、単なるテクノロジーおたくではなく、全体的な視野も。

 P-369

よいことずくめのテクノロジーなど、めったにあるものではない。

 

最後に

テクノロジーという切り口とは言え、いろんな時代の、いろんな国の生活に関するレポートのよう。

そう、テクノロジー専門「オタ」色はほどほどに抑えられていて、それよりは、祖国に遠い世界の人々の生活を伝えた旅行者マルコ・ポーロといった印象の強い本作品。

マルコポーロとは - コトバンク

 

また、次回

 

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