こんにちは、カタツムリ系です🐌
金田一耕助シリーズは大好物です。特に、古谷一行さんもの‼️古谷一行さんがベテランになられてからも同シリーズは面白いのですが、やはり、原液の果汁100%ジュースのような味わいは初期のものに限ります。それで、「八つ墓村」で、新たをレビュー↓してみましたが、意外にも、新しい発見やら、楽しさに出会えました。
そんな楽しい体験に味をしめて、またまた傑作の「悪魔の手毬唄」↓でも試してみました。
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【目次】
- おすすめポイント
- 作品紹介
- 二十年を超える三角関係を忘れない日本人
- 手毬唄の短調のメロディーと子供の無邪気な歌いっぷりのギャップ。得体の知れなさ
- 二十年前の事件の中心的な役割を果たす人物の詐欺師っぷり
- コミカルだけど、恐ろしくもある顔面をもつ、中国や日本古来の神様を思い出させる、悲しい手毬唄を一番だけ
- 最後に
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おすすめポイント
①人工的ではない、舞台そのものの、負のオーラ
→敗戦。それに伴う負の感情。戦前から引き継ぐローカルな因襲と、それを拭いきれない、やり切れなさ。名称も「鬼首村(オニコべムラ)」。
②人工的ではない、手毬唄の負のオーラ
→何気ない歌詞なのに、深く粘っこい負の感情をたっぷり染み込ませた手毬唄。日本古来の言霊(コトダマ)の魔力。
③かなり人工的な謎解きのエッセンス
→言霊の染み込んだ手毬唄の歌詞に沿った殺人予告とその実行。一見、あっさりした歌詞だけに、無表情・無感情での犯行のようにも感じられます。これぞ、オカルト。これぞサスペンス。
トリセツ)
私こと、カタツムリ系的に「ここだ!」というところを、スナップ・ショット的にピック・アップしていきます。
なので、必ずしも、全体を丁寧に網羅しないことも💦
作品紹介
事の起こりは二十年前の事件。鬼首村(オニコベムラ)と呼ばれる外界から隔離されたようなローカルな土地がその舞台です。長い長い伝統が人々の生活を縛ります。
実際、江戸時代から続く名門だが没落した多々良家(タタラケ)と、新興勢力の二つの一族。一つは、由良家(ユラケ)と言い通称、枡屋。もう一つは、二礼家(ニレケ)、通称、秤屋。
これらの争いの中で起こった二十年前の殺人事件。迷宮入のまま、時間は経過します。
その二十年前の事件を未だに心に引きずる、岡山県警の磯川警部は金田一耕助に協力を依頼。
すると、何かが思い出されたかのように、また、金田一耕助に挑戦するのように、この三家を巡って殺人事件が連続します。
しかも、鬼首村に代々伝わる手毬唄に従って行われる狂った事件。複雑な人間関係と、蓄積した負の感情とが相まって、事件は二転三転します。
出典はアマゾンさん。
二十年を超える三角関係を忘れない日本人
二十年を超える期間、心の中で秘め続ける感情なんて、想像もつきません。ただし、この作品を見る限り、特殊な日本人というよりは、こういうメンタリティは、そこそこポピュラーだったようなイメージあります。
当事者には真剣なことでも、今の時代から見ると、これ自体ホラーではあります💦
手毬唄の短調のメロディーと子供の無邪気な歌いっぷりのギャップ。得体の知れなさ
歌詞は一見、オトボケ気味。歌う子供さんの歌声は無邪気。でも、中身は、村の権力者の傍若無人ぶりへの悪意のこもったメッセージ。得体の知れない、やりきれない気分をダイレクトに演出してます。
二十年前の事件の中心的な役割を果たす人物の詐欺師っぷり
二十年前の事件の被害者と目され、そして、三角関係を引き出し、詐欺師でもあった人物。恩田。かつてのイケメンとして、軽いテイストで表現されていますが、二十年もの間、人々の記憶に残るほど。心の奥底で、沈殿した負の感情はいかばかりのものでしょう💦
コミカルだけど、恐ろしくもある顔面をもつ、中国や日本古来の神様を思い出させる、悲しい手毬唄を一番だけ
うちの裏の前栽にスズメが三羽とまって
一羽のスズメが言うことにゃ言うことにゃ
おらが在所の陣屋の殿様
狩り好き酒好き女好き
わけても好きなが女でござる
女誰がよい升屋の娘 升屋器量よし ウワバミ娘 升で量って漏斗で呑んで
ひがな一日酒浸り酒浸り
それでも足りぬと返された
「ウワバミ」とは大酒飲みのこと。今で言うコンプライアンスには抵触しまくりの人物像。
「返された」は「殺された」の意味。
そう、メロディーは短調なのですが、内容は、コミカルでさえあります。日本とか中国の神様が変にコミカルでおどろおどろしい顔面なのを思い出します。コミカルでかつおどろおどろしいということは、この世のもの感がゼロですね。あちらの世の存在感。
最後に
何度見てもいつ見ても面白い作品ですが、夏休み向きと言えば、あまりに夏休み向き。原作を読んでみたり、映画バージョンのチェックもありか、と。とは言え、私は断然、古谷一行バージョンのテレビ派です😊
また、次回。
#横溝正史