カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

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【人間の証明】カサカサした空気感漂う昭和の悲劇

こんにちは、カタツムリ系です🐌

 

これも原作ありき。しかも作者は森村誠一さんという推理小説界の大御所。

 

人間の証明 (角川文庫)

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出典はアマゾンさん。

 

【目次】

 

 

 

おすすめポイント
 

①ドライな空気感

       →変に親切な物言いも歯痒いのか

           つっけんどんなやりとりに終始。

           言葉だけではなく、やはり、

           全体としてドライな時代か。

 

②あの麦わら帽子ですよ、という詩句

    →西條八十さんの詩の引用。

        作品全体のモチーフにも。

        詩でストーリーを引っ張るなんて、

        いにしえの時代しか出来ない芸当かと

         思ってましたが、ここに、詩が

         完全な存在感をもって現れるのを

         目撃します。

 

③セレブからの没落

    →まだ敗戦の記憶も色濃く残っている

        時代。今よりずっと生に執着できた

        人々。いわんや、一旦セレブな生活を

        手にするや、それを守る為破れかぶれ。

        「没落」が、死と変わらない意味を

        持っているかのよう。

 

 

トリセツ)

私こと、カタツムリ系的に「ここだ!」と

いうところを、スナップ・ショット的に

ピック・アップしていきます。

 

なので、必ずしも、全体を丁寧に網羅

しないことも💦

 

作品紹介

 

東京でアメリカ人青年の殺害事件あり

最後の言葉が「ストウハ」。

 

これが、西條八十詩集との関連で事件の

捜査が進みます。

 

捜査の手は、政治家の夫を持つ有名

評論家の女性にも及ぶが。。。

人間の証明 角川映画 THE BEST [DVD]

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出典はアマゾンさん。

 

ギスギスした空気感

 

この作品全体もそうですし、よく登場する

警察署での捜査会議など、ギスギス。  

カサカサ。

 

米兵とのやりとりもギスギス。カサカサ。

 

モノにも心にも余裕などあるはずない

時代といえば、それまで。

 

もしくは、馴れ合いを排除した男の世界!

という設定?!

 

誰も面白いこと言わないし、他の国みたい。

 

 

ホンワカしたポエム

 

打って変わって、マイルドなポエム。

 

作者は西條八十(サイジョウヤソ)。

 

西條 八十(サイジョウ ヤソ)とは - コトバンク

 

タイトルも『ぼくの帽子』。

 

しかも、殺人事件捜査とシンクロさせる

なんて凝ってます。

 

関連箇所引用しておきます。いいですよ♬

 

    母さん、僕のあの帽子どうしたで

    せうね?
 

    ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
 

    谿底へ落したあの麦稈帽子ですよ。

 

 

やっぱりギスギスした世間 

 

明らかに

    愛情  < 利益の論理で

行われた殺人。

 

でも、ベタベタした愛情のもつれから

生じた事件ではなく、完全に自己の利益を

計算した冷徹な事件。

 

そんな事件に至らざるを得なかった

経緯も丁寧に描かれてますが、それとて、

かえって、言い訳にしか聞こえない作りに。

 

また、次回。

 

#松田優作

#人間の証明

#森村誠一

#西條八十