カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

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【ホーキング 宇宙の始まりと終わり①】星が自らを支えられない、重力崩壊の果て=特異点。星の一生を描くドラマの永久的再現😊

こんにちは、カタツムリ系です🐌 

ホーキング博士の著作を読み続けて思います。そう、彼の著作の多くは「宇宙の始まりと終わり」についての内容です。

そして、沢山の考慮すべき要素はありつつも「特異点」と呼ばれる不思議な一点を巡って、恐ろしく多彩な考察が行われるエンターテイメント。

魅力的な材料が、優秀な作り手によって料理されるところは、高級ホテルなんかで開催される、料理ショーに近い趣もあります。なので、面白い。

ホーキング宇宙の始まりと終わり 私たちの未来

出典はアマゾンさん。

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【目次】

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ブラックホールにも特異点。ビッグバンにも特異点

特異点とは

まず、特異点の説明が必要ですよね。

P-183

ある物理量が無限大となる数学的な点。一般相対性理論によると、時空の曲率(時空がどれだけ曲がっているかを示す数値)はブラックホールで無限大となる。ビッグバン理論では、物質の密度と温度が無限大である特異点から宇宙が生まれたとされる。

まぁ、一種のコンセプトなので文句を言っても仕方ないのですが、「どれだけ曲がっているか」という数値が無限大なんて、やり過ぎですね💦

始まりも終わりも特異点

P-75

ペンローズの定理では、崩壊しつつある星は特異点で終わるはずです。ですから、フリードマンのような膨張宇宙論特異点で始まるはずです。

特異点が終わりなら、始まりも特異点だろうと。きっと現代数学的には、きちんと意味のある表現なのでしょう。

ただし、私が読み手だと、

  • この、特異点が終わりなら、始まりも特異点だろうという理屈と
  • 赤ちゃんとして生まれてきたのであれば、死ぬときも赤ちゃん??みたいな理屈

との間で、違いがよくわかりません💦

「宇宙の再崩壊」と特異点

P-75

この定理を使って、宇宙が再崩壊するのを避けられるくらい速いスピードで膨張している場合に限り、特異点があるはずだということを証明しました。

「宇宙が再崩壊」というのは、宇宙もしくは宇宙にある天体が重力の力に負けて、密度が無限大になるまで収縮してしまうような状態のことを指すそうです。

とすると「宇宙のスタートは特異点」だし、「宇宙が再崩壊してしまう」場合でも、それは「特異点」?!

とにかく、「特異点」はどこまでもついてくるようです💦常に、始まりであり終わりであるようです💦

 

星が星でいられる前提

星のライフサイクル。生い立ち。

P-79

ほとんどが水素からできている大量のガスが重力によって凝縮した押しつぶされ始めると、星が生まれます。

重力は割に暴力的💦 

P-79

ガスの原子はますます激しく、光速で衝突し合うようになります。するとガスの温度は徐々に上がっていきます(中略)水素爆弾製造の過程にも似たこの反応で放出された熱で、星は輝きます。

星の成り立ちも、星の輝きも、重力で圧迫されたり、粒子が激しくぶつかり合うなどという、フィジカルな衝突の中から、生まれてくるもののよう💦

星のライフサイクル。星が元気なとき。

P-80

星もこのようにして、核反応で出る熱と重力のバランスを長い間維持しますが、最後には水素を主とする核燃料を使い果たしてしまいます。

そうすると、星が重力に、すぐにでも押しつぶされそうですが💦

星のライフサイクル。核燃料を使い果たすと

P-81

星が小さくなると、物質の粒子はお互いに緊密に近づきます。しかしパウリの排他原理にしたがえば、二つの物体粒子は同じ位置に同じ速度で存在することはできません(中略)二つの粒子は互いに遠ざかり、星を膨張させる働きをします。そのため、星は、重力と排他原理によって生じる斥力とのバランスをとって一定の半径を保てるようになります。

なんだか、すごい話になってきました。しかし、さらに、星という巨大な天体の話をしているのに、物質の粒子という、恐ろしく小さな観点からのアプローチが並行的になされているのには驚き。

 

チャンドラセカール限界

ネーミングはコミカルな響きもありますが、れっきとして定理。

P-81

チャンドラセカールは、排他原理の定める斥力に限界があることにも気づいていました。相対性理論は、星のなかの物質粒子の速度差を最大で光の速さまでと制限しています。これは、星の密度が十分に高くなると、排他原理によって生じた斥力は引力を下回ってしまうということです。

「星のなかの物質粒子の速度差を最大で光の速さまでと制限」すると、どうして「斥力が引力を下回る」のかは分かりません。

星も、その若い時期には、ガンガン、核燃料を燃やしていたのでしょう。それが、一旦落ち着いてしまうと、今まで星を支えてきた、粒子同士の斥力なども、パワーが衰えるのでしょう。結果、重力に負けてしまうのですね。

具体的な数値

P-82

チャンドラセカールは、太陽の1.5倍以上の質量の星は自分自身の重力に耐えきれないと計算しました。この限界質量は現在、チャンドラセカール限界と呼ばれています

 

重力崩壊までのドラマ

星が自らの質量にかかる重力に耐えられず収縮してしまうことを「重力崩壊」というようですが、先ほどの引用通り「太陽の1.5倍に以上の質量」だとか。

それにしても

  • 水素が重力で凝縮された結果、星が生まれ↓ 
  • 核燃料をバンバン燃やして光り、そして熱を放射し↓
  • やがて収縮に転じるが、パウリの排他原理という性質で、一旦踏みとどまり↓
  • やがて重力に負けてしまう

なんて、「重力崩壊」は、その型苦しいネーミングに負けず、ドラマチック。

 

また、次回。

 

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