こんにちは、カタツムリ系です🐌
先の記事でブラックホールに関する関心が再び高まったのは、クェーサーというブラックホールのまわりをグルグル回っている円盤状の物質と知りました。そういうエポックメイキングな時期はあるものですが、ブラックホールに関する理解そのものにも、エポックメイキングなポイントがあったようです。丁寧な本書↓を引き続き見ていきます。
出典はアマゾンさん。
前回の記事↓
https://katatsumurikei.hatenablog.com/entry/pop-science/physics-hawking/2020/03/13
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【目次】
- ブラックホールが何かを呑み込むたびに、事象の地平面(ブラックホールを取り囲む境界線)の表面積が大きくなっていくそうです
- 事象の地平面の表面積とエントロピーに関係性あるのなら、ブラックホールには熱が必要。でも、ブラックホールには熱はない💦
- ブラックホールは元々の天体からほとんど情報を引き継がないから、そんな情報を捨てる必要性。しかし、ブラックホールからは何も吐き出せない。
- 最後に
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ブラックホールが何かを呑み込むたびに、事象の地平面(ブラックホールを取り囲む境界線)の表面積が大きくなっていくそうです
P-32
ブラックホールに新たな物質や放射が落下するたびに、地平面の表面積は大きくなっていくという特性
ここでエントロピーに触れておきます。
P-33(編集者 注)
エントロピーとは、秩序を保っているものはすべて時間の経過とともに無秩序になっていくという傾向のことである。たとえは、レンガがきっちり積み重なってできている壁(低エントロピー)も、いつかは乱雑な土砂の堆積(高エントロピー)と化してしまう。このプロセスを記述するのが熱力学の第二法則だ。
今まで目にしたエントロピーの説明で、一番わかりやすい😊
いろんなものが放り込まれるブラックホール。(いろんなものを呑み込んだ結果)その境界線で囲まれた表面積が大きくなっていくという現象を、無秩序の度合いを示すエントロピーが大きくなると解釈するなんて、珍しくストレートに納得できる話。しかし、ここで素人には絶対思いつかない問題点が浮き上がります。
事象の地平面の表面積とエントロピーに関係性あるのなら、ブラックホールには熱が必要。でも、ブラックホールには熱はない💦
ブラックホールには「温度あるはず」という理屈
まぁ、いろんなものがブラックホールに放り込まれてぐちゃぐちゃになれば、乱雑さ、無秩序さは増えそうです。そこで、地平面の表面積と、ブラックホールのエントロピーが比例すると考えるのはきわめて自然な気もしますが
P-38
ブラックホールに事象の地平面に比例する有限のエントロピーがあるとするなら、ブラックホールの温度も、ブラックホールの表面重力に比例した有限の温度でなくてはならないということです。
(表面)重力と温度が比例する可能性がある理由はさっぱり分かりません💦とりあえず、そこはスルーするとして、とにかくブラックホールは、なにがしかの温度を持ってなくてはいけないそうです。
ブラックホールには「温度はない」という理屈
P-40
古典的な概念に従えば(中略)ブラックホールは、そこに落ち込んでくる熱放射をすべて吸収してしまう一方、その代わりに何かを発するということはできないはずだからです。ブラックホールは何も発しません。もちろん熱も発せられないのです
ということは、絶対零度ということ?!そうすると、例の不確定性原理があるので、絶対零度という温度が実際に存在するとなると、また矛盾が出てきそうですね。なぜなら、不確定性原理は
位置の誤差 ✖︎ 運動量の誤差 > 一定数
ですから、位置の誤差なり運動量の誤差は必ず発生する、すなわち、必ず運動しているということか、と。運動していると熱が出ます。
結局、こんな矛盾が💦
次のような整理になるかとおもわれます。
- 事象の地平面には表面積に比例したエントロピーがあるとすると↓
- 表面重力に比例した温度あるはず↓
- でもブラックホールは何も吐き出さないので温度があるはずない。だから絶対零度↓(「表面重力に応じた温度の存在」という想定と「絶対零度」との矛盾)
- しかし、量子論の不確定性原理の観点からは絶対零度はおかしい((絶対零度」という想定と「不確定性原理による絶対零度の否定」との矛盾)
こんな問題点というか、矛盾によく気が付けるものですね💦そして、さらなる矛盾が💦
ブラックホールは元々の天体からほとんど情報を引き継がないから、そんな情報を捨てる必要性。しかし、ブラックホールからは何も吐き出せない。
ブラックホールには情報は保存されないという理屈
P-34
ヤコブ・ベッケンシュタインは(中略)ブラックホールは重力崩壊によって形成されるときに、急速に定常状態に落ち着きます。その状態は、たった三つのパラメーターによって説明されます。質量と角運動量(回転の状態)と、電荷ーこれだけです。この三つの特性を除けば、ブラックホールはブラックホールになる以前の、崩壊した天体の詳細をなんら保持していません。
ここでいう「情報」とは、ある天体に関連するあらゆる粒子とあらゆる力についての詳細すべてのことだそうです。
要は、ある天体がブラックホールに飲み込まれたら、色々、乱雑になりそう、すなわち、エントロピーが増大し、無秩序になりそう。しかしながら、そんな諸々はほとんどカットされ、シンプルになるという「真逆」?のもの。
ブラックホールには情報は保存され続けるという理屈
P-40(編集者 注)
ブラックホールの内部では情報の喪失が起こると見られているが、もしそのように情報が失われているなら、いくらかのエネルギーの放出がなければならない。しかし、そうなるとブラックホールからは何物も脱出できないという理論に逆行してしまう
結局、こんな矛盾が💦
ここでも、また矛盾。
- 重力崩壊で生まれるブラックホールは、元々の天体からいろんなものを呑み込むことになります↓
- エントロピーの増大=情報量の増大↓
- しかし、ベッケンシュタインによれば、質量など三種類の情報しか引き継がない↓
- そうすると、かなりの情報が失われる↓
- ブラックホールから、失われた情報分のエネルギーの放出があるはず↓
- ブラックホールは、何も吐き出さない(「失われた情報分のエネルギーのは放出があるはず」という想定と「ブラックホールは何も吐き出さない」との矛盾)
最後に
簡単にまとめると
- 事象の地平面(の表面積)とエントロピーに関係性ありそう。もし、そうなら、ブラックホールには熱があるはず→熱はない💦
- ブラックホールが元々の天体からほとんど情報を引き継がなさそう。もし、そうなら、そんな情報は捨てなきゃダメ→ブラックホールは飲み込む一方で、捨てられない💦
ということか、と。
ブラックホールも謎ですが、この矛盾の説明も、私にとっては謎に近い複雑さ💦
また、次回。
#ホーキング 、ブラックホールを語る
#事象の地平面