こんにちは、カタツムリ系です🐌
宇宙の始まりと終わり、なんて、エキサイティングなトピックである一方、即効的になにかの役に立ったりする内容でもないことも確か。しかし、意外な?ところで高い関心を寄せる人たちもいるようです。なんと、ヴァチカンのカトリック教会💦
出典はアマゾンさん。
前回の記事↓
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【目次】
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ヴァチカンでの宇宙論の会議
会議の趣旨
P-122
カトリック教会は、ガリレオでひどい過ちを犯しました。科学の問題に権威を振りかざし、太陽が地球の周りを回っているのだと宣言したのです。それから数世紀を経た今、教会は数人の専門家を招いて宇宙論について意見を求めることにしたわけです。
たしか、以前の教皇がビッグバン理論を大々的に取り上げて、これこそ、神の天地創造を示すものだとアピールしたこともあったよう。しかし、科学理論はつねに書き換えられる可能性があり、その科学理論の誤りが指摘されたら、教皇の誤りにも繋がりかねないので、以後慎むようにと部下から諌められたとか💦
ホーキング博士のことですから、一発かましたのかと思いきや、そんな武勇伝はないようです。しかし、一応、シニカルなスタンスは崩していません。
教皇コメント
P-122
会議の最後に、参加者は教皇への拝謁が許されました。すると教皇はビッグバン以後の宇宙の進化を研究するのは結構だが、ビッグバン自体を突き詰めてはいけないと言いました。なぜなら、ビッグバンは創造の瞬間であり、したがって、神の業(ワザ)だからだ、と。
しかし、ホーキング博士の専門領域はビッグバンにもかなり被ります。教皇から招かれた会議で、教皇からストップがかかったトピックをバンバン主張されたに違いありません💦
ホーキング博士の振る舞い
実際、
P-141
時間と空間はともに大きさは有限だが境界や縁のない面を形作っている可能性がある、とわたしがはじめて発表したのはヴァチカンの会議でした。わたしの研究論文はかなり数学色が強かったため、宇宙の創造に髪が果たす役割まで踏み込んでいることは、その時点では指摘されませんでした
特異点が招くもの
一般相対性理論の宿命
いくらヴァチカンでダメって言われても、突き進むホーキング博士。特異点に関する考察が、またまた特異な方向性を生み出します。
P-156
古典的な一般相対性理論は、時空の曲率が無限大の特異点で宇宙が始まったと予測しています。実のところこれは、古典的な一般相対性理論が自らの破綻を予測したということです。
哲学ならいざ知らず、物理学では、数学で記述する必要あります。数学では、発散など無限大というコンセプトはあるようですが、数学を使った物理学では、無限大のものは、実在しない、もしくは実在するという予測もない以上、使い勝手がありません。まさに破綻です。それで出てきたのが重力量子論。
重力量子論の台頭
P-156
時空の曲率が増大すると(中略)古典的な一般相対性理論は宇宙の詳細な説明ではなくなってしまいます。
一般相対性理論が「無限大」とか「特異点」とかで、言ってみれば思考を停止しているところでも、重力量子論は丁寧に
P-156
宇宙のとり得るあらゆる経路を考慮します
ということ。一般相対性理論は、宇宙の始まりの部分の説明につき、理論の完成度的に高みに達してないというより、そこまで手が回らなかったという方が実態のようですね。
重力量子論が万物を説明する理論になり得るのか。その時、過去、その役割を担っていた哲学者は?
P-180
大半の科学者は宇宙を記述する新理論を考えるのに忙しく、なぜという問いを発してしません。
物理学とはそういうものだと整理しています。ニュートンも「引力とはなにか」なんて考えているとキリがないので「引力はどのように振る舞うか」という方向で研究を進めると、色々うまくいったらしいです💦
P-180
一方で、なぜという問いを発するのが仕事の人たち、つまり哲学者たちは、科学理論の進歩についていけずにいます。十八世紀の哲学者は、科学も含め、人類の全知識が守備範囲でした。
例えば、フランスのダランベールは哲学もやり数学もこなす典型例。しかし、こんな環境になったことには理由はあり
P-180
十九世紀から二十世紀にかけての科学は、ごく一部の専門家をのぞき、哲学者にとっても他の人たちにとってもあまりに技術的で数学的になりすぎました。
たしかに💦そして、そんな状況はさらに加速し
P-180
哲学者が探求の範囲を大幅に狭めてしまったため、二十世紀の最も有名な哲学者ヴィトゲンシュタインはこう語っています。「哲学者に唯一残された仕事は、言語の分析です」。アリストテレスからカントまで、偉大な伝統を持つ哲学のなんという落ちぶれようでしょう。
それにしても、ホーキング博士は、哲学者に対して、なんと塩対応なことでしょう💦
最後に
かつて教養小説と呼ばれて、主人公の成長を描いた本がもてはやされていた時がありました。読者が共感を得るような人物像で、そして、苦難を乗り越えるという設定が多かったと思います。たとえば、ロマン・ロランのジャン・クリストフ。
出典はアマゾンさん。
宇宙論も、教養小説並みに、ある種、自由自在に宇宙のストーリーを描くことのできる時代になったようです。すごい。
また、次回。
#ホーキング 宇宙の始まりと終わり
#ヴァチカン