カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

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ビッグバンが導く宇宙「鉄」化計画【新しい物性物理①】超伝導などミクロの世界のスピード感。電子は新幹線の7000倍速い

こんにちは、カタツムリ系です🐌 

「物性」物理。

あまり聞かない名称です。アマゾンを調べてみても、物性物理をテーマにしたもので、最近書き下ろされた本は無さそうです。

とにかく「モノ」の「セイシツ」です。

この表現だと、急に「物理の中の物理」といった雰囲気もでてきますね💦

とにかく

  • あまり耳にしないという「レア」さと
  • 「物性」という、本当は由緒正しいのでしょうが、私には怪しく?聞こえる「物性(ブッセイ)」という「語感

に惹かれて読み始めます💦

新しい物性物理―物質の起源からナノ・極限物性まで (ブルーバックス)

新しい物性物理―物質の起源からナノ・極限物性まで (ブルーバックス)

 

出典はアマゾンさん。

 

 

 

そもそも物性物理とは

物理にありがちな?理論づくめの分野ではなく、超伝導体やエレクトロニクスなど、工業的に、実際に役立っている物理学の分野。理屈的には、かなり量子論統計力学とにオーバーラップしています。

物性物理学(ぶっせいぶつりがく)とは - コトバンク 

統計力学(とうけいりきがく)とは - コトバンク

量子論なら量子論

統計力学なら統計力学

という風に、明確に区別したら良さそうなもの💦しかしながら、産業界からの引きも強いので、学問的というよりは、「いますぐ役に立つ」ので、分野として急遽、独立したというイメージあります。「ニーズ」という「裏支え」が強固な「物性物理」。

 

ミクロの世界の単位の話

P-23

ミクロな世界を取り扱う場合には、マクロな世界での単位は不便

不便というのは、カロリーとかキロワットとかいった、我々が通常使用する単位のことですね。ミクロの世界を取り扱うには、大き過ぎるのかもしれません。

P-23

電子が1ボルトの電位差で持つエネルギー(中略)これを電子ボルト、eVで表す。静止し電子が1ボルトで加速されると秒速vは593キロメートルになる(中略)この速度は新幹線🚄の約7000倍だが、光速の約500分の1である

でました。ミクロの世界は、忘れた頃に?凄いパワーを、チョイ見せしますたかだか、9.1 x 10マイナス^31(マイナス31乗)の電子が、たかだか、1ボルトで、新幹線の7000倍のスピード。

たしかに、「10のマイナス31乗」レベルになると、新しく単位を設けないと、記述が手間ですね💦

 

光の粒子「フォトン」。ゲージ粒子というカテゴリーらしい。

光は

  • 粒子だと言ったり
  • 波だと言ったり

慌ただしいですが、粒子として認識される時には、ちゃんと名前付いてます。

フォトン(光子)」。

わざわざ名前がついているくらいなので、やっぱり個別の役割があるようです。ゲージ粒子としての活躍があるとか。ゲージって、gauge。寸法とか計器とかの意味。

P-32

ゲージ粒子は、さまざまな物質間をつなげる力の伝達役として働き、諸反応をもたらす源泉である。光を思い出してほしい。ビッグバンから始まって、これが森羅万象を演出している。

だんだん話が大きくなってきました。で、フォトンは、どのあたりを担当するかと言えば、

P-32

フォトンは電磁力をとりもつゲージ粒子である。

まぁ、光も電磁波の一種らしいですし。一方、重力にも、このフォトンに相当する粒子があるらしく、当然?強い力(強い相互作用)や弱い力(弱い相当作用)にも同様に、そうした粒子が存在する。

P-32

重力にはまだ発見されていないグラビトンという粒子があり、弱い相互作用ではW、およびZ呼ばれる弱ボソンがある。そして強い相互作用ではグルーオン(のり、にわかの意味)がクォークをねっとりつなぎとめるゲージ粒子

 

ちょっとだけ宇宙誕生系のトピックに寄り道

まぁ、宇宙の構成要素たる素粒子を扱っているので、その集合体である宇宙の話に移行するのも理由はあります。そんなこんなで、宇宙誕生後、核融合が起きて、水素以外の元素もバシバシ作られていたようですが、

P-35

核融合が起き、水素(陽子)と中性子が合体して重水素、そしてさらにはヘリウム原子核も作られた。もし、このような状態が長く続いたら、最後には宇宙物質は鉄ばかりになったかもしれない、というショッキングな話しがあります。

どうして、急に鉄が出てくるかと言えば

P-35

原子核の中で最も安定で結合の強いのは鉄原子核で、核融合が充分に進行すると色々な原子核は次第に淘汰されて最後は鉄だけになってしまう

鉄だけだと生命は生まれないでしょうね。しかし、この情報だけ耳にすると、核融合が進むと鉄になるなら、核融合でエネルギーを作り出している太陽も、鉄への道を歩んでいるのでょう。

また、木星土星がガス惑星と言われているのに比べ、地球や火星は岩石惑星と呼ばれています。実際、鉄分も多いとか。磁場があるくらいですし。何を言いたいかというと、宇宙は「鉄化」のプロセスを歩んでいる?!そして、地球や火星はその最先端?!

いずれにしても、どっちを見ても鉄、てつ、てつという状態にならなかったのは、

P-36

幸いなことに、そこまで行く前には冷えて、核融合を引き続き起こせなくなった

からだそうです。

 

最後に

本書の筆者の力量なのでしょうか、それとも、物性物理がもつ本来の面白さなのでしょうか。かつて目にしてきた量子論宇宙論のロジックを扱いつつも、そのグイグイくるストーリーテリングはなかなかのエンターテイメント😊

 

また、次回

 

#新しい物性物理

#核融合

#原子核