こんにちは、カタツムリ系です🐌
最初一読した時の乾燥は、『なんと、愛想のない本』か、と💦
ポピュラーサイエンスという言葉があるように、もっと分かりやすく、少しポップに解説することが主流の今、割に淡々とした語り口に、どこかとっつきにくさを感じていました。
原著は四十年前くらいなので、そんなものかなぁ、とも諦めてもいました。
しかし、しかし。
大なり小なり、物理的な味付けをしつつ、宇宙創成の物語としては、一級品とのイメージに様変わり。
ポイントは、以前は、ムーチューブ に影響されて、やたらと大きな単位、たとえば宇宙論みたいな分野に特化していたこと(もちろん、それとて、知識のレベルはなんとも言えない程度ですが)。
そのあと、少し、素粒子系の知識を入れると、ホントに、ほんの少しでよいのですが、かなり面白さが伝わってきます。
なぜなら、この方、素粒子系の方で、電磁気力と弱い力を統合的に説明することでノーベル賞をとられたとか。
それにしても、極小の世界を扱う素粒子論ですが、そんな極小の世界が、実は宇宙の有り様の解明にもつながってきた、かなりエキサイティングな時代になってきたものです💦
- 作者: S.ワインバーグ,Steven Weinberg,小尾信彌
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 文庫
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【目次】
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大きなテーマの「てんこ盛り」ぶり
こんなに大きな発見の最中にいるなんて、大変でしょうが、面白かったでしょうね。じゃあ、どんなテーマかと言えば
むむむ。すごい。
宇宙の温度
いまは、結合寒くて、約3Kで、摂氏マイナス270度くらいです。しかし、宇宙が出来立てで、かつ、もっとギュッと詰まったコンパクトな時代には、地獄のような熱さだったとか。
P-21
宇宙の温度は摂氏約1,000億度であった。
しかし、1,000億度なんて、どうやったら、そういうロジックになるんでしょうね。
P-21
これはいかなる星の中心よりもはるかに熱く、実際あまりに高温度であるため、ふつうの物質の成分のどんなものも、分子も原子も、原子核さえもひとつに結合していることは出来なかった。
でも、ビッグバン直後の温度については諸説あるらしく、例えば「兆」レベルの話も聞きます。
宇宙の年齢は、コロコロ変わります
21世紀になってからも、137億年→138億年に変わっています。新規に打ち上げた衛星からの、新規のデータによって更新されたわけですが(WMAP衛星→Planck衛星)、それにしても、1億年も増えるなんて、なかなかのジャンプですね💦
プランク(ヨーロッパ宇宙機関の科学衛星)とは - コトバンク
しかし、この頃は、もっと大きな誤差を抱えていたようです。
P-59
宇宙の年齢は(中略)およそ20億年でなくてはならないし、重力による減速を考慮するとさらに小さいことになる。
地球の年齢は46億歳ということは分かっていたらしいので、これはなかなか悩ましいですね。こういう強烈なパラドックスがビッグバン説に発展する土台になったようです。しかし、強烈なギャップですね💦
アインシュタインのこだわり
P-62
当時の宇宙論的な考え方に従ってアインシュタインは、一様(均質)で等方で、不幸なことに静的であるような解をとくに見つけようと試みた
「不幸なことに」なんですね。「不幸なことに」宇宙はどんどん膨張しているのだそうです。それはそれで、ピンとこないですけどね。特に地球は膨張してませんしね。
最後に
著者は素粒子論の専門なので当然そうした分野の内容も書かれているのですが、手に負えず、かなり省略。そして、わざわざ「歴史のよりみち」なんていう章も設けられているのですが、ここもハードル高く割愛💦
なかなか難しい。この著者は理論的にもレベル高いですが、志もかなり高そう。巻末に記載された、そんな高い志しを感じられる表現を共有させてください。
P-216
宇宙を理解しようとする努力は、人間の生活を道化芝居の水準からほんの少し引き上げ、それに悲劇の優雅さをわずかに添える数少ないことのひとつである。
また、次回。
#宇宙創成はじめの3分間
#素粒子論