カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

映画・本・動画といったエンタメのレビューを友人に語りかけるように書きためています。映画は、おすすめポイントと大好きなカットに焦点。本や動画でポピュラーサイエンスやオカルトをエンタメとしてカバーしているのも特徴。

【ペンローズの”量子脳”理論】「量子」の振る舞いは、まさに「意識」の振る舞い。その類似性。人工知能につながる英知。

こんにちは、カタツムリ系です🐌  

ペンローズは英国でサーの称号をもつ一代限りの貴族。そうなると、相当保守的な理屈を展開している方思いきや、一般相対性理論量子論を超え、人のココロにまでリーチしようという意欲的な学者さんと聞いています。

いかんせん、理解が浅いのですが、読後感としては、ココロというよりは、脳とか神経がターゲットなイメージです。本書の日本語タイトルである「量子脳」じゃないですが、人間の神経細胞の仕組みに目をつけて、それを物理的な観点で解きあかそうとしている感じ。今で言う人工知能への関心のように見えます。なので、あまり「ココロ」を強調するのは、少し脱線な感じもします。

ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて (ちくま学芸文庫)

ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて (ちくま学芸文庫)

 

出典はアマゾンさん。

関連記事↓

————————————————————————

【目次】

————————————————————————

量子力学と非計算的なこと

P-79

量子力学には根本的に欠けているものがあるわけだから、それを完成するためには、現在の理論にはない何かが必要です。そこで、私は、「非計算的」な要素を付け加えるというのは、それほど悪い考えではないと思うんです。

ペンローズさんは、量子力学はリスペクトしつつ、明らかに、何か足りないと確信されているようです。そして「非計算的な」部分を重要視されてますね。しかし、非計算的なことについては、ズバリ教えてくれません。 

P-78

ここでは決定論的な計算可能性がランダム性と結びついています。これは私が非計算的と呼ぶものではありません。非計算性は、このような図式を超えたものなのです。ですから、私は、真の非計算性を考慮するためには、現在の物理学では不十分だと主張

どうやら、ペンローズ さんの言う非計算性というのは、もちろん単なるデタラメなものではないでしょう。1➕1=2というのような単純なものではないくらいの意味でしょうか。

P-76

意識というのは、なにか別の存在です。それは部分の寄せ集めだけではなく、一種の大局的な能力で、置かれている全体の状況を瞬時にして考慮することができる。だから、私は意識が量子力学と関係すると考えるのです。

どうやら非計算性というのは、計算出来ない、みたいな否定的な意味づけではなく、計算を超える「判断力」のようなプラスアルファの性格を追加していますね。

大局的な量子力学?!

P-76

量子力学でも、意識に似たような状態があるのです。大局的で、それ自体で存在していて、こまかい部分の結果でないような状態が。

量子力学の「大局的」な部分を教えて欲しいですね。でも、ここでは、お預け💦なお、じゃあ、これから量子力学で意識を説明し始めるのかと言えばそうでもなく

P-79

意識を説明するには量子力学か必要だということではないんです。意識を説明するには、量子力学を超える必要があるんです。

意識と量子力学が似ているのなら、観測者が見た瞬間、ギュッーと縮むで、波から粒子になるという問題については?

例の観測問題というポイントです。予想とは異なり、この波動関数の収縮というプロセスは、人間の意識の動きにかなり似ているのでは!と思わせる説明をしてくれます。

P-141

「客観的な波動関数の収縮」は「意識」のさまざまな特徴とどのように関係しているのだろうか?(中略)量子力学的な重ね合わせ状態が(中略)ある質量ー時間ーエネルギーのしきい値(中略)に達するまで、他の(中略)波動関数を次々と巻き込んでいく。

たしかに、レベルの差こそあれ、なにかの行動や気持ちを一つにまとめるとき、いろんなごちゃごちゃした思い(=波動関数)を並行的にもつわけですが、これが、ある程度のレベルになるまで、ごちゃごちゃした思い(=波動関数)を巻き込んでいきます。意識の動きにそっくり。

P-142

私たちは、波動関数の収縮が起こる前のコヒーレントな重ね合わせの状態(すなわち、量子力学的な計算が行われている状態)を、「前意識的プロセス」と見なし、瞬間的に起こる(そして、非計算的な)波動関数の収縮を「一つの離散的な意識イベント」と見なす。このような「客観的な波動関数の収縮」が次々と起こることによって、「意識の流れ」が生ずる

ごちゃごちゃした思いが、ある一定レベルまで煮詰まって一つの明確な意識となるが、こうした「ごちゃごちゃした思い→一つの明確な思いへの昇華」が「意識の流れ」なんて、なんと、革命的な見方なことでしょう💦

 

最後に

意識の中を、大雑把であっても、量子力学の「波動関数の収縮」になぞらえて説明できてしまうペンローズさん。その英知ぶりに、ひたすら関心。もう、かなりのご高齢だそうですが、さらなる新しい視点を提供して頂けないものかと切に思います。ただし、最近亡くなった車椅子の物理学者ホーキング博士との共著は、ちょっと難しすぎて💦

この後、人工知能系の議論も続きますが、原著は1996年発刊。なんとはなく議論がボンヤリな感じもして、割愛💦

 

また、次回。

 

#ペンローズの”量子脳”理論

#波動関数の収縮

#ホーキング博士