カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

映画・本・動画といったエンタメのレビューを友人に語りかけるように書きためています。映画は、おすすめポイントと大好きなカットに焦点。本や動画でポピュラーサイエンスやオカルトをエンタメとしてカバーしているのも特徴。

【物理学の世紀】ムー的宇宙。マルチ・バースの熱が下がりません

こんにちは、カタツムリ系です🐌

 

ムー的宇宙を読み進めていくと、個々の科学者の人間像にも光が当てられます。たとえば、「サイエンス・モンスター」アインシュタインも振り切ってますが、「人間」アインシュタインも強烈過ぎて、なんか、お腹いっぱいです。もっとも、まだまだ、マルチ・バース熱はキープされています。

どんどん次に行きます。

アインシュタインのような強烈なパーソナリティを個別に追っていくのも楽しいし、同時に、より広い視野で、近現代の物理周辺の流れを見ていくのも、面白そうだなぁと思って、手に取ったこの本。

付け加えておくと、先の「量子力学イデオロギー」と同じ筆者である点、示唆の多い読書ができることを期待しています。

物理学の世紀 ―アインシュタインの夢は報われるか (集英社新書)

物理学の世紀 ―アインシュタインの夢は報われるか (集英社新書)

 

出典はアマゾンさん。

 

 

20世紀には、物理はもっと幅を利かせていたらしい

P-10

物理帝国主義

なんていう言葉があったとか。まさに、肩で風を切って闊歩するイメージ💦 

たしかに、ここ数世紀で、エックス線やら相対性理論やら量子力学を網羅し、原爆や水爆に収斂する、これでもか!という発展をしてきたのも、門外漢でもわかります。

そんな勢いが「帝国主義」という、あまりに大袈裟で、大時代的な表現に繋がったよう。

しかし、なんて、遠い昔の話なのだろう。。。という感じ方しかないのは不思議なものです。

 

そんな物理の「粋」も、地上に引きずり降ろされる

P-133

「科学技術の快挙」から「人類の愚行」へと原爆のイメージは逆転ストーリーのドラマのように変貌

今では皮膚感覚では分からなくなってますが、かつて、原爆は科学技術の快挙という、極めて前向きな進歩的な捉えられ方をされていたよう。

鉄腕アトムも、そんな時代の反映でしょうね。

鉄腕アトム(てつわんあとむ)とは - コトバンク 

そりゃそうでしょうね。

恐ろしく大きなエネルギーを人工的に作り出すなんて、サイエンスの真骨頂のようなイメージあります。

しかし、広島・長崎への原爆投下という不幸な事件を皮切りに「人類の愚行」と言われるまで評価は下降していきます💦

もちろん、原爆投下のもたらした悲劇は言うまでもありません。

しかし、これによって科学の価値も下がるとなると、それはそれで悲劇ですね。ただし、原爆投下の悲惨さがあまりに衝撃的で、そんな正論を言える環境ではなかったんでしょうね。

 

物理帝国の凋落

P-184

物理学の退場?

つい最近?まで「帝国主義」を誇っていた物理が、「退場」を云々されるまでに。

量子力学の教えではありませんが、個々の事象は、まったく、どこに向かうか分かりません💦

 

凋落の影響。特に研究費の面💦

実験が必然的に大型化し、コストもうなぎのぼりらしい。そこで、資金獲得のロジックとして、その公共性をアピールすると、そんなに人気あるなら、それで大儲けしてみろ!と反論されるとか。

P-188

確かに、精神的欲求に応える文学、音楽などのもろもろの芸術、また宗教、スポーツといった営みにも公共性はあるが、私的な資源を基本にしている

上記引用通り、公共性だけの言い訳では、科学だけエコひいきする理由としては、弱いのは確か。

お金は余っている訳ではないので、仕方ない面もあります。ただ、私がこれまでリーチした偉大な歴史を振り返ってみただけでも、物理学者に対する世間の変節?は寂しい気がします。

 

最後に

なんだかマルチ・バースから、随分、トピックが離れてしまいました。

そこそこ歴史好きですし、科学史にも、多少触れた経験があります。しかし、そこでは、トピックが「パラダイム・シフト」など、もっと他の分野に向いていて、この本のような内容はとても新鮮でした。

いやぁー、科学は、そのロジックや成果物だけでなく、その歴史も、人の心を惹くものがありますね。

ベタな言い方ですが、勉強になります。。。

 

また、次回

 

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