こんにちは、カタツムリ系です🐌
ホーキング博士の出世作「ホーキング、宇宙を語る」のある種、挑戦的でありながら丁寧な作風とは変わって、随分、落ち着いた「オトナ」風になっていました。古代中国とか古代ギリシャの例がよく出てくるので、いかにも学校での講義風に感じられたのかもしれません。ただし、製本はとても綺麗です😊
出典はアマゾンさん。
ちなみに、本書↑のカバーは、ホーキング博士が無重力状態を体験された時の写真。病気のせいで、表情は分かりにくいですが、この写真では、かなり嬉しそうです。
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【目次】
- 序盤で哲学への、手厳しいスタンス
- 「一般」相対性理論と「特殊」相対性理論の差
- 「繰り込み」という、よく耳にするが、一向に要領を得ない言葉
- 次元のはなし。珍しく、次元に関して、少しサポートとなる説明あり😊
- また、宇宙の始まりの話
- 最後に
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序盤で哲学への、手厳しいスタンス
人類の存在意義とか、創造主の必要性とか、伝統的に哲学の根本問題であるような点に関して
P-10
現代において哲学は死んでしまっているのではないでしょうか。哲学は科学の進歩、特に物理学の進歩についていくことができなくなっています。こんにち、科学者は新たな発見を行うことにより、人類の知の探求において発見の松明を掲げて進む役割を担うことになりました
冒頭に書いた通り、全体が「オトナ」っぽいテイストなので、ここだけ、あからさまなファイティングスタンスなのは目立ちます。
物理学も、もともとは「自然哲学」などといった名称で、哲学の一種だったようですが、今では、根が同じだったとは予想もつかないほどに離れてしまっているイメージあります。
「一般」相対性理論と「特殊」相対性理論の差
ざっくり、加速度が考慮されているかどうかの差のようです。しかし、加速度みたいな、物理学において基本的な数値が考慮されないなんて、あり得ますか?
P-144
アインシュタインの一般相対性理論は、重力が存在しないときには特殊相対性理論を再現し、私たちの太陽系のような重力が弱い環境下ではニュートンの重力理論とほとんど同じ予言をします。
この表現いいですね!とにかく、ニュートン力学は間違っているけど、実務上は使用に問題ないみたいな表現はよく出くわします。一方、このホーキング博士による表現のように
なんか美しくないですか💦
とは言え、現代では、益々ニュートンの重力理論は肩身が狭くなりつつあるのは確かで
P-144
けれども太陽系だからといってニュートン理論で十分かと言うと、そうではありません。実際、GPS 衛星ナビシステムにもし一般相対性理論が考慮されなかったら、位置情報の誤差が一日につき10キロメートルほどの割合で累積することになるのです!
GPS衛星ナビシステムが全然普及せず、われわれの実生活にあまり関係ないなら机上の空論と言われても仕方ないありません。しかしながら、一般相対性理論を用いたナビシステムが、導入されただけではなく、これだけ一般化していると、やっぱり、ニュートン理論では心もとないのだろうと、素人目にも、そう見えます💦
「繰り込み」という、よく耳にするが、一向に要領を得ない言葉
日本のノーベル賞受賞者の朝永振一郎博士が導入されたと聞いています。しかし、これって、物理的にというか、数学的に怪しいらしいのです。でも、よく使われているのだとか。物理的によく活用されていて、ノーベル賞受賞の理由にもなっているのに「怪しい」とは、どういうこと?
P-151
繰り込みとは、丹念な数学的計算によって「理論に表れる負に無限大となる和と正に無限大となる和をほとんど相殺させ、観測される有限の質量と電荷に対する小さな量を残すことで、無限大となると定義される量を取り除く」というプロセスのこと。
数学だと、一つの式を、ほかの式に代入すると、今まで重要そうに見えた項目(半径とか質量とか)が、無関係に成立することが分かるといったことがあります。
ある種の「すり替え」みたいなことでしょうか💦とりあえず「繰り込み」という操作に関して、はじめて、ちゃんとした説明に出会ったという「一歩前進」感で満足することにします💦
次元のはなし。珍しく、次元に関して、少しサポートとなる説明あり😊
P-164
私たちが平面を2次元というのは、その上のどんな点も指定するのに2つの数(たとえば水平軸と鉛直軸)が必要だからです
必要性から次元の数を選択するって?そりゃそうですよね。
P-164
(ストローの)空間上の点の場所を指定するためには、その点がストローの長さ方向に沿ってどこにあるか、そしてまたストローの円周方向の次元に沿ってどこにあるかを知る必要があります。しかし、もしストローが非常に細ければ、ストローの長さ方向に沿った座標を用いるだけで、その場所を非常に良い近似で知ることができるので、円周方向の次元は無視してもよいかもしれません。
実際、ストローの直径が
- 100万分の↓
- さらに100万分の↓
- さらに100万分の↓
- さらに100万分の↓
- 100万分の1インチ
であれば、円周方向の次元にはまったく気づかないことでしょう。
P-165
これが余剰次元に関して、ひも理論の専門家たちが描くイメージなのです。つまり、余剰次元は私たちが見ることのできないほど小さいスケールで強く曲がっているのだろう、と考えるわけです
どうやら余剰次元というのは、われわれの普段の生活では、知らなくても、まず不便なさそうです。しかし、余剰次元は
P-165
知らないふりをしてごまかされるような単なる隠れた次元ではなく、重要な物理的意義を持っているのです
要するに、「次元」と聞くので、ついつい、長さ・幅・高さと同じような、われわれが親しみを持てるような単位かと思ってましたが、「物理的意義」から重要なものなのですね。
また、宇宙の始まりの話
このポイントを理解するために、なんらかのピースが欠けているようですが、どんなピースが欠けているのかは分かりません。しかし、ホーキング 博士の著作を読むときに、このテーマを避けるわけにはいかないので、ここでも、言及します。
P-193
ファインマンの方法によれば、粒子の運動を考える際、粒子がある点に到達する確率を計算するためには、粒子が始点から終点まで通り得るすべての歴史を考慮しなければなりません。
P-193
ファインマンの方法を用いれば、宇宙を観測する量子的確率も計算することができます。宇宙全体に適用した場合、宇宙には始点Aなるものが存在しないので、無境界条件を満たし、現在私たちが観測する宇宙に終点を持つようなすべての歴史について和をとることになります。このような見方に立つと、宇宙はおのずから出現し、あらゆる可能な過程に沿って進化して始めたということになります。
これが、宇宙には始まりもなく、終わりもないという説明らしいのですが、わたしにはお手上げなんです💦
最後に
かのニュートンも22歳、アインシュタインは26歳で「奇跡の年」と呼ばれる、充実した研究成果わもたらした時期があったとか。やはり、天才物理学者の天才ぶりを見たければ、若い頃に注目しなければいけないかもしれませんね💦
一方、本書はホーキング博士の68歳の作品。んー、かつての肩に力が入っている感が楽しかったのに、そんな気負いがなくなり、随分、リラックスされた感あります。もちろん、文句を言う筋合いは一切ないのですが💦
また、次回。
#ホーキング、宇宙と人間を語る