こんにちは、カタツムリ系です🐌
物質と反物質の対消滅。真空のエネルギー密度が物質のエネルギー密度をいずれ上回る謎。しかも、伝統的な科学的アプローチを経ての結論。大元の量子のゆらぎ。最先端の科学のトピックとしても成立し、オカルトのエピソードとしても生きる、稀有なバリューを持つマルチバース理論。たしかに、我々は新しい時代には生きているようです😉
マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか (星海社新書)
- 作者: 野村泰紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/07/27
- メディア: 新書
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出典はアマゾンさん。
前回の記事です↓
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【目次】
- 真空のエネルギーにつき、観測値が理論値より120桁大きなことをめぐる騒動
- このデッドエンドを多元的宇宙論が刺激する
- そろそろ超弦理論関連を。まずは余剰次元
- 量子力学的トンネル効果と泡宇宙
- 永久にインフレーションと超弦理論の余剰次元の構造から得られる描像
- 入門というわりには、なかり欲張った内容
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真空のエネルギーにつき、観測値が理論値より120桁大きなことをめぐる騒動
普通なら大騒動になるかと思いきや、割と冷静な反応であったかのような印象あります。
P-74
しかし、いくつかの理由でこの問題は理論物理学の中心的な話題ではなかった。
やっぱり。しかし、どうして?
P-74
一つには問題が重力を含んでいるということがあった。(真空のエネルギーは重力を通してのみ我々に影響を与える)素粒子の標準模型は重力を含んでいない。
きちんと重力を反映し、それを正しく理解すれば
P-75
真空のエネルギーの理論値はゼロになるはずだと考えていた
さらに
P-75
科学視野たちの多くが重力の問題に積極的でなかった理由の一つには、それが実際上あまり重要でないということもあった(中略)重力は他の三つの力(中略)に比べて圧倒的に弱いため(中略)大部分のシステムでは完全に無視できる
ためでした。
このデッドエンドを多元的宇宙論が刺激する
P-80
自然界には無数の異なる宇宙が存在するという一見突拍子もない考えは、他のどの理論も説明し得なかった真空のエネルギー密度の小ささを説明しただけでなく、それが人間が宇宙を観測した時(すなわち高等生物が生じた時期)の物質のエネルギー密度とほぼ同程度の大きさであることまで予言し、それが実際に観測で確かめられた
これこそ、コペルニクス的転回と言えましょう😉ベタにいうと、コロンブスの卵?!しかし
P-80
無数の異なる宇宙が存在するという仮定は当然ながは大きな仮定
あー、ちゃんと地に足のついた科学者による研究結果なのですね。良かった。ホラー映画で登場するマッド・サイエンティストのようだつまたので💦
そろそろ超弦理論関連を。まずは余剰次元
よく超弦理論に絡めて、「余剰次元」というワード聞きます。ここで説明してくれているので共有を。
P-87
空間のいくつかの方向が(この場合、円状に)丸まっており、その大きさが知覚できるサイズよりはるかに小さかったならば、その方向に対応する次元は「小さ過ぎて見えない」ということになる。超弦理論によれば、我々の時空にはこのように小さな6(=10 - 4)次元の丸まった「余計な」次元が存在しているということになるのである。このような次元をコンパクト化された次元、もしくは余剰次元と言う。
あれ、単に知覚できない次元ということ?次元というのは、なかなか捉えづらいです💦
量子力学的トンネル効果と泡宇宙
量子力学には何を言われても、もう驚かないつもりでしたが、またまた、驚かせてくれます。
P-94
量子力学では、非常に小さな確率ではあるが、物が古典力学的には乗り越えられないはずの障壁を通り抜けたように動くことが起こりうる。(これはトンネル効果と呼ばれる)
このトンネル効果だけでも驚きなのに、これを宇宙論に当てはめるのだとか。
P-94
これは、はじめAであった宇宙がBの宇宙に転換し得ることを意味する(中略)時空がAの状態から始まったとすると、その中にいくつとのBの「泡宇宙」ができ、それが広がっていく
さらに
P-96
Aで占められた空間は加速膨張を続けていく。そして、この加速的膨張は一般にBの泡が広がるスピードよりも速い
たいていは、Bの方が新しいエネルギーをもらって速くなりそうなものなのに、そんな普通な想像は許されません💦しかも
P-96
美の泡たちは広がっていくのだが、その間の空間な広がるスピードの方が速いためお互いに衝突できず、それぞれが孤立した宇宙のように振る舞うことになる。また、Aの空間はBで埋め尽くされることなく存在し続けるため、その中に無数のBの泡宇宙が永遠に生まれ続ける
かなり機動的なアメーバのようですね。しかも宇宙規模の。こういう現象を「永久インフレーション」と呼ぶそうです。
永久にインフレーションと超弦理論の余剰次元の構造から得られる描像
P-98を編集
- 無数の宇宙が生み出し続けられている↓
- これらの泡宇宙は10の500乗かそれ以上の種類をもつ↓
- これらの異なる宇宙においては、素粒子の種類や真空のエネルギー値、空間の次元数も異なる↓
- 我々の住んでいる宇宙はこの無数の宇宙の一つに過ぎない
そして、このロジックは、観測値が理論値より120桁近く大きいという真空のエネルギーの問題を解くのに必要とされた状況だとか。恐らくは、我々があまりに小さい存在ゆえ、真空のエネルギーを全て知覚できないという結論につながるのでしょうか。
入門というわりには、なかり欲張った内容
でも、かなり面白かった。マルチバースのトピックは最近目新しいものがなく、マルチバースの話題には数学の匂いが強い超弦理論がすぐ登場するので、ちょっと敬遠気味でした。しかし、これは、ウオッチし続けるしかありません💦
また、次回。
#余剰次元