こんにちは、カタツムリ系です🐌
「物性」というネーミングの素っ気なさとは裏腹に、バラエティ豊かな側面を見せてくれる物性物理。相対性理論なんかとも絡めて、パラドックスめいたトピックもあるかと思えば、本記事では、実際の産業に直結する、やり手な一面が垣間見れます。ギャップ萌えというヤツです。
新しい物性物理―物質の起源からナノ・極限物性まで (ブルーバックス)
- 作者: 伊達宗行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/21
- メディア: 新書
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出典はアマゾンさん。
前回の記事↓
ナノテクの広がり
ナノメートルとは、10^マイナス9(10のマイナス9乗)メートル。この領域がなかなか使い勝手がよいらしい。
P-199
その技術は半導体にとどまらず基礎から応用までの広い範囲に波及した。そこでのキャッチフレーズがナノテクとなった
P-209
ナノ加工技術の進歩で半導体素子の集積度は高まっているが、これをメモリーの世界から眺めてみよう。テレビの話題に続いて、パソコン、携帯電話と身近な家電に深くかかわるナノテクノロジー
そして基幹産業たる自動車業界🚗にも触れます。
P-210
次はもう一つの大黒柱、自動車産業界とナノテクについてのべる。すぐ思いつくのはカーナビであろう。これはGPS(全方位測位システム)の情報を使ってクルマの存在位置を示す仕組みで、半導体のかたまりみたいなもの
GPSが相対性理論を使って衛星との位置情報のやりとりのズレを調整しているとは聞いたことありましたが、なんと、ここでも半導体が。しかも、半導体の「塊」だとか💦さらには
P-210
非常に重要な技術が開発されつつある。燃料を二酸化炭素の出ない水素とする計画
どうして、こんなところにナノテクが関わってくるかと言うと、とにかく、水素ガスを吸い込んだり(吸蔵)、吐き出したり(放出)する必要があるらしいのですが
P-211
どの物質を使っても大吸蔵量に加えて急速な吸蔵、放出の制御が急所となり、膨大な吸着面積を確保するためには素材のナノ構造化が必至
キーとなる水素や二酸化炭素そのものではなく、それを制御するためのツールがポイントなのだとか。何が、どこで必要になるのかは、全く予想がつきませんね💦
そろそろ量子の世界に
ナノメートルの世界に入り込んだのです。当然、量子論の世界に誘い込まれるのは、至極、当然ですね。キーワードは「量子ドット」。
P-213
これはナノサイズの人工的な「量子の入れもの」を作り、これまで天然の原子、分子という量子の容器でしか見ることの出来なかった量子現象を、好きな形に整形してみようということで、その人工物を量子ドットと呼んでいる
この説明自体は全く意味が分かりませんので、その効果の話を。
P-213
マクロな結晶で電流といえばオームの法則に従った流れであった。ところが量子ドットでは電子の走る距離内で衝突は一度も起きず
電場をかけると電子は出発点から弾道を画く(ママ)に動く
オームの法則というと、抵抗が大きいと電流が流れにくくなるというアレ。しかし、量子ドットだと、遮るものがないのだとか。これ、かなりエネルギー効率が恐ろしく良いのでしょう。
更なる夢、量子通信(P-220)
P-220
例えば超伝導体でナノサイズの箱を作って一列に並べる(中略)この箱それぞれの中では電子はしっかりした形の物質波を立てている。そこでこれらの箱の間隔をせまくしていくと、隣の箱の電子とのエンタングルが始まる。物質波へざわめきを作り、それを伝播させて情報を通信する
物質波というのは(電子をふくむ全ての)粒子に備わっている波のこと。
それを利用すると、お互いにエンタングルする(もつれる)ので、情報が伝わっていくのだとか。魔法💦 そして、驚くアドバンテージがあり
P-221
通信の盗聴ができないことである。それは信号を傍受しようとすれば、量子力学の不確定関係のために必ず信号系に変化を生ずる。それで盗聴していることがバレてしまう
例の不確定性原理は、きちっと量を計測できないことですが、それを使うのだとか。「不確定」と宣言しているような、モヤモヤしたものを、そもそも、どうやって使いこなすのでしょう💦しかし、もうこの動きは加速がついているらしく
P-224
その奥に第二の目標が控えている。それが量子コンピュータに象徴される物質波通信である。
しかも、この動きは恐ろしく大きな意義があるるしく
P-224
もしそこに到達できればこれは産業革命に等しい変化を呼ぶだろう
ドラマ😊加速度はさらにアップします。
ついに心へ
P-238
21世紀の科学は、人間の心の物質構造に迫ることは明らかである
人体が原子で構成され、その原子では、原子核の周りに電気を持つ電子(雲)が存在していて、その電子を切り口に、科学的なアプローチは出来そうですね。かつて(今も?)脳死については、倫理的な側面がかなり議論されましたが、同じくらいのインパクトを持つような気もしています。もっとも、仕組みが大して分からないので、この感想も、ぼやっとしてますが💦
最後に
物性物理とは、量子論を武器にして、
- あらたな産業革命でも起こしかねない
- かなり実務的で
- 強力な分野
であることが、やっとイメージできました😊
#新しい物性物理
#量子ドット