カタツムリ系@エンタメ・レビュー (ポップ・サイエンスはデフォルト)

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金田一耕助【悪魔の手毬唄】RPG的ナゾ解き。日本童謡の、オカルトを超えた怖さ

こんにちは、カタツムリ系です🐌

 

先の「八つ墓村」というネーミングも、おどろおどろしいです。この「悪魔の手毬唄」というタイトルも、その名前だけで、なにかに、祟られてそう(タタラレテソウ)💦

 

 

おすすめポイント

 

金田一耕助の滞在先「鬼首村(オニコウベ

   ムラ)」に代表される、おどろおどろしさ

     →あまり、やり過ぎると滑稽な感じになり

        ますが、作品の密度の濃さのせいでしょう    

        か、こんなネーミングもすっと入ります。

        そんな、オカルトテイストが魅力。

 

②童謡の内容に沿った、予告殺人の周到さ

     →この作品、タイトルからして、オカルト・

         テイストを売りにしているはず。

         しかし、ムードだけで乗り切ろうとして

         いません。

         予告殺人から始まって、いわゆる犯人と

         探偵の知恵比べの醍醐味もあります。

 

③人間関係が濃密な分、深い深い恨みが

    爆発する迫力

      →古い日本の農村です。人間関係は固定的

         で、濃いはず。そんな中で生じる殺人

         事件。

         お金や地位など利益をストレートに追求

         する欧米のドライな犯行とは、かなり

         毛色が違いますが、それはそれで、独自

         の味わい。

 

トリセツ)

私こと、カタツムリ系的に「ここだ!」と

いうところを、スナップ・ショット的に

ピック・アップしていきます。

なので、必ずしも、全体を丁寧に網羅

しないことも💦

 

作品紹介

ずばり、童謡の手毬唄の内容に応じて、人が殺される事件。連続殺人事件。

今回、かなりの知的犯罪。

丹念に情報を追っていくさまは、ミステリー作家の最高峰、エラリー・クイーンの作品のよう。

エラリー・クイーンとは - コトバンク

悪魔の手毬唄 上巻 [DVD]

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出典はアマゾンさん。

 

日本の童謡が醸し出す、オカルト・ムード。そして残酷さ
 

日本の昔の音楽は、陰音階(インオンカイ)といって、音は五音階である一方、我々がよく知っているドレミファソラシドは七音階。基本、短調なので、悲しげなメロディーになりがちだとか。そんな音の効果をふんだんに使ってます。

陰音階(いんおんかい)とは - コトバンク

 

さらに、歌詞もなかなか迫力あります。童謡とは少し違いますが、日本で古くから子供さんが使っていた約束の儀式、指切りげんまん。

 

げんまんって、拳骨で10000回叩くことだとか。なかなかホラーです。しかも、指切りもペナルティの一部です!そんな静かな残酷さも、ポイント・ポイントで、いい雰囲気を醸し出してます。

拳万(ゲンマン)とは - コトバンク

  

予告殺人に使われる「鬼首村手毬唄」。一番のみ引用。

 

うちの裏のせんざいに
すずめが三匹とまって
一羽のすずめのいうことにゃ
おらが在所の陣屋の殿様
狩り好き酒好き女好き
わけて好きなが女でござる
女たれがよい枡屋の娘
枡屋器量よしじゃがうわばみ娘
枡ではかって漏斗で飲んで
日がないちにち酒浸り
それでも足らぬとて返された
返された

 

ここでも、一見、コミカルな雰囲気さえ感じられる歌詞。

 

しかし

○狩り好き酒好き女好き

○桝屋の娘(中略)酒浸り

なんておおっぴらに歌われる人なんて、狭い村では、かなりのアウトローではないでしょうか。

 

今更ですが、こんなアウトローなことを

○わざわざ、歌にして

○しかも、素朴なメロディーでまとめる

という「逆説的な」やり口が、静かに怖いです💦

 

鬼首村再び

作品の順番としては、この「悪魔の手毬唄」より先のようですが、同じく、悪魔の鬼首村を舞台にした作品↓。因縁💦

 

また、次回

 

#金田一耕助

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